なつのいちにち

抜けるような真っ青な空、でっかい入道雲、その中を走り抜ける麦わら帽子の子ども。呼んでいると井上陽水さんの「少年時代」が流れてきそうな…そんな絵本。

絵の美しさもさることながら、絵の構図がまた素晴らしい。夏の空のでっかさ、夏の緑の濃さ、その中を走りまわる子どもの速さ、その中を吹き渡る風まで感じさせるような構図。シンプルだけど子どもの夏を楽しむ様子が伝わってくる物語と相まって、これぞ夏!という気分にさせてくれるイチオシの1冊です!


セミくんいよいよこんやです

地面の下で暮らすセミくんに電話がかかってきます。「ええそうです、いよいよこんやです」。そう、今日はセミくんがいよいよ羽化する日。長い間暮らした地面の下の家ともお別れです…

ともかくまずは絵が良い!セミくんの家の小物がもう、どれもこれもセミらしいものばかり♪そうだよねぇ、何年も暮らすのだからそれだけセミくんの生活臭というか、セミの生そのものがにじんでいます。それがすごく良い。そうして、セミくんの羽化を祝う虫たちもまた、それぞれの虫の特性が絵にもストーリーにも出ていて良いんだなぁ。セミを擬人化したおはなしですが、変にお涙頂戴になておらず、素直にセミが重ねる長い年月というものを良い意味で楽しく捉えてストーリーにした絵本です♪


ぐりとぐらのかいすいよく

ぐりとぐら、今日は海水浴に来ています。ふたりは泳げないので波打ち際で砂遊び。すると、沖のほうから何か光るものが流れ着いてきました。流れてきたのは…ぶどう酒のビン。けれど中身はぶどう酒ではなく、手紙でした。手紙には「しんせつなともだちへ しんじゅ・とうだいへきてください」と書いてあります。地図によると、しんじゅ・とうだいは海の向こう。ふたりは浮き輪につかまってしんじゅ・とうだいを目指して出発!

まず1ページ目で驚きの事実、ぐりとぐらは泳げなかったのですね…。しかも泳げないのに浮き輪に乗って沖に出るのはスゴイ!そうして、海の向こうにいた友だちを助けてあげます。行きには泳げなかったぐりとぐら、けど帰りはちゃんと自分たちで泳いで帰ります。え?どうして泳げるようになったかって?それは読んでのお楽しみ♪


お化けの真夏日

お化け屋敷に夏が来ました。暑さに参っているお化けもいれば、夏をおもいっきり楽しんでいるお化けもいるようです。そして、人間と同じように夏を楽しみます。スイカ、花火、かき氷、虫取り。…今の人間たちより夏を楽しんでいそう?都会ではなかなかこんな夏は過ごせませんものねぇ。随所にお化けらしい笑いも散りばめられていて、夏休み前に楽しい読み聞かせができる絵本です♪


お化けの海水浴

ここはお化けのための海水浴場。お化け屋敷のお化けたちが海水浴にやってきました。準備体操をして(お化けたちもちゃんとするんです!)泳ぐ…のかと思ったら砂かけばばあは砂集め。ろくろっ首はご想像の通りのことをしています(笑) そして、今日は海のお化けたちも集まって一緒に宴会をするのです。共潜たちはアワビやサザエを取り、鬼たちは魚を持ってきて、小豆あらいと小豆とぎが料理。そうして、最後にビッグゲストも…。お化けの海水浴、ちょっと出てみたい気もするなぁ♪料理がすごく豪勢だし(笑)


オニヤンマ空へ

夏のはじめに、たけるの家族はお墓参りをして風の谷公園でお弁当を食べ、遊んで帰ります。公園の小川でたけるは大きなヤゴ(とんぼの幼虫)を捕まえました。ヤゴはやがてオニヤンマへと羽化し、たけるはオニヤンマを風の谷公園に返すため、一人ででかけました…。

表紙とタイトルからは虫好きな男の子の楽しい話のように思えるのですが、中身は全く真逆です。羽化したばかりのか弱いオニヤンマにたった七日で無くなった妹を重ね、たけるの兄としての想いや成長を描いています。絵本という短い物語の中に、それがとても素晴らしく詰め込まれています。夏の静かな物語です。


おっきょちゃんとかっぱ

おっきょちゃんがひとりでうらの川で遊んでいると、ガータロという河童がおっきょちゃんを川の祭りへと誘います。おっきょちゃんは浴衣を着て、お土産にきゅうりを持ってお祭りへとでかけました。河童たちはきゅうりに大喜びし、おっきょちゃんを歓迎してまつりのもちをふるまいました。そのもちを一口食べるとお父さんのことを忘れ、二口食べるとお母さんのことを忘れ、三口食べると、とうとうおっきょちゃんは水の外のことは全て忘れてしまいました…。

夏と言えば怪談話や妖怪話が盛り上がってきますが、日本古来の妖怪「河童」だけはなぜか人間と親しみやすい存在ですよね。この絵本もよくよく読んでみると怪談話なのですが、河童の陽気さやおっきょちゃんの素直な性格が相まって、怪談というよりは少し幻想的な河童の物語になっています。また、物語の展開も面白いものがあり、読み聞かせにもなかなか◎です♪


ウエズレーの国

他の子とはちょっと違うウエズレー。どうも自分は周りの子とはちょっと違うんだなぁ、と自分でも感じている。だから友だちにいじめられたりもする。自分だけの隠れ家があったらなぁ、とウエズレーは思う。そうして、夏休みがいよいよ始まるという時、ウエズレーは自由研究の宿題にぴったりなものを思いついた!それは、じぶんだけの作物を育てて、自分だけの文明を作ること!ウエズレーのすごい自由研究がはじまります。

他人とは違うこと、自分と違う人間がいることに、人は時に恐れを抱いたり力でねじ伏せようとしてしまう。けれど、この絵本は違います。ウエズレーという存在を「異質なもの」として描くのではなく、ウエズレーという一人の人間として、ウエズレー自身が持つ魅力、才能としてウエズレーが人とは違うことを讃えています。それが本当にストーリーと絵からよく伝わってくるのです。違うことは良いことなんだな、と思わせてくれる素晴らしい絵本!


うみのいえのなつやすみ

夏といえば海、そして海といえば、「うみのいえ」。カレーライス、焼きそば、かき氷、フランクフルト…って食べ物ばっかりですが、この主人公のなっちゃんは、親戚のおばさんたちがうみのいえをしています。毎年夏はそのおばさんのところに行って遊ぶのが恒例。いとこのゆうくんと海で泳いだり、貝殻を集めたり、磯でカニや小魚を捕ったり、海の遊びが満載です。ところが、大事にしていた麦わら帽子をなくしてしまったなっちゃん。遊んでいた浜辺や磯を探しても、麦わら帽子が見つかりません。その内に雨も降りだして…夏の海の楽しさたっぷりですが、ストーリーもなかなか面白い絵本です。


狂言えほん せつぶん

はるばる中国の蓬莱山から日本やってきた鬼。さすがに疲れたので、どこかで休もうと思ったところ、明かりの灯る一軒の家があった。中には美しい女の人がひとり、鬼はたちまち女の人に惚れてしまい、なんとか嫁にしようと口説くが、女の人は鬼が恐ろしくてたまらない。鬼は手を変え品を変え惚れさせようとするけれど…

狂言の節分をもとにした絵本。女の人を口説く鬼の様子がとてもひょうきんです。鬼が怖くて怖くてしょうがない女性と、それに全然気付かず女も自分に惚れてあるなと勝手に勘違いする鬼の間抜けさのギャップが面白いです。ただ、この機微を捉えるのはちょっと難しそうかな?中学年〜高学年向けかもしれません。