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この記事で紹介した瀬戸内市民図書館が、Library of the Year 2017 大賞&オーディエンス賞を受賞しました!
おめでとうございます!!
LoY受賞したから見学したいけど遠いし忙しくて…という方はぜひこの記事をご覧ください。
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妻の帰省中に時間的な余裕ができたので、瀬戸内市民図書館に見学に行ってきました。
今回は事前に見学申し込みをし、たっぷりと時間を取って見学することができました。
では早速写真を御覧ください。
外観です。左側のレンガ造りの建物が図書館で、右側の白い建物は瀬戸内市中央公民館です。
ブックポストもシンプルで外観に合ったデザイン。
入ってすぐ、かまどのような窓があります。向こう側に見えるのは児童書コーナー。これだけで何かわくわくしますね。
入ってすぐに子どもが遊べるコーナーがあります。この日も何人かのお子さんたちが遊んでいました。
木で作っているのが良いですね!
絵本や木のおもちゃも。無印良品などで木のブロックなどを置いているのはよく見ますが、図書館でも最近は置いているところが増えてきましたね。
ブックカートの貸出があります。たくさん借りる時は便利そうですね。
ベビーカーの貸出もあり。
子どもの遊びスペースから館内に目を向けると、この開放感のあるロビー!そんなに大きな図書館ではないと思うのですが、全然狭く感じないです。
入ってすぐの展示コーナー。展示はここ以外にも館内の色んなところに。
1階の図書館カウンター。片付いていてすっきりしており、作業スペースのような印象があまりありません。開放的で話しかけやすそうな。カウンターとは別に事務室があります。
カウンター左側の閲覧スペース。閲覧机の他、「せとうち発見の道」という瀬戸内市の古代から現代までがわかる展示もあります。天井が高くてこれまた広々とした印象を受けます。
床下には発掘現場を再現した展示が。
閲覧スペース。窓が大きく採光により明るいスペースになっていますが、書架が遠いので日焼けの影響は少ないかな?
閲覧席にも展示スペースが。この日は昔の暮らしの道具を展示しており、しかも触ることもできました。
館内図。よくみると「◯類」という日本十進分類法の分類ごとの排架が書かれていません。
瀬戸内市民図書館は、「分類番号別・番号順の配架と排列」を行っていません。日本十進分類法に類した大きな分類はあるものの、それらの分類に当てはまる資料であれば分類に関わらず同じ箇所に固めています。
1例を見てみると、この書架は認知症に関する棚ですが、日本十進分類法で言う3類(社会科学)、4類(自然科学)、5類(工業)9類(文学)の本が混在しています。
もうひとつ特徴的なのは、この本のジャンルを示す仕切り板の言葉。
ちょっとした遊び心も…?
普通だったら「子ども服」とするところを「子ども服をつくる」にしています。これだとコーディネートではなく裁縫だということが見てすぐわかります。
同じように「大人の服をつくる」もあり…
コーディネートは「大人の着こなし術」になっています。
料理の棚は見ていて楽しくなるだけでなく、分け方が細かいので目当ての料理本が探しやすそう。
学校案内なども校種ごとに分けて排架。
大学ガイドだけでなく大学での学びについての資料も固めて置かれています。大学ガイドを探している人にとってより広い発見がありそう。
これらのサインからは、図書館員の分類目線ではなく、図書館ユーザーが本を探す目線で分類・排架・サインづくりが行われているように感じました。日本十進分類法を使いつつも、そこに囚われず、あくまでユーザー目線で分類・排架・サインを創る。素晴らしい図書館づくりだと思います。
他の書架にも関連の本がある場合は、その案内をちゃんと置いています。
こんなサイン他では見たこと無い…
あなたはどっち?(ほんともは断然山派)
大人の本のサインにもちゃんと振り仮名が。
わかりやすいのは書架のサインだけではありません。テーブルには飲食の可不可が絵でわかります。
図書館員の名札は全て平仮名!これには「あぁ、そうだよね、そうすべきだよね…」と反省しました…
児童書コーナーの主に1類の書架。わかりやすい。
外国文学のコーナー。
児童書コーナーのサインは全て平仮名のみ。確かに漢字にする必要性はあまり無いですね…一方、平仮名のみにしておけば早ければ年長さんの子どもや、まだ日本語に慣れていない外国人利用者などもわかります。
読み聞かせコーナーの入口。よく見ると足元に土足禁止のサイン。
読み聞かせコーナー。小さなちゃぶ台があります。
読み聞かせコーナー。人をダメにするクッションも…けどこういうのでゆったりくつろいで本を読めるのは良いですね。
サイトで特に報告していませんでしたが、昨年結婚し子どもも産まれたので個人的にすごく気になるベビールーム。授乳ができおむつを替えるベビーベッドもあり、パパが待つ時に座る椅子もあります。ベビーカーも入りそうですね。
ミルク用のお湯も出ます。
階段にある児童書コーナーの小さな窓にはおなじみのぬいぐるみが。
階段から1階が一望できます。すごく広く見えますね。
階段をのぼると、ほんともが個人的には大好きなカウンター席が。長い!
席にはライトとコンセントもあり。持ち込みPCももちろん使えますし、無料Wi-Fiもあります。
2階の採光窓。
2階にはインターネットコーナーも。
2階は主に調査・研究に向いている資料が多く排架されており「そうだん・コピー」コーナーもあります。「そうだん・コピー」というコーナー名がわかりやすい。ちなみに座っているのは図書館常駐の学芸員さん。瀬戸内市民図書館には専門の学芸員さんが正職員として配属されています。これは図書館員にとってかなり心強そう。この日も市民の方が熱心に相談されていました。
2階にあるスタディルーム。図書館に関する活動のミーティングに使えるほか、図書館資料を使った調査活動にも使用できます。この日は私がミニ講演をここでさせていただきました!
こちらはより広いスタディルーム。自学自習に使えます。
最近の図書館ではもう当たり前になっている良いデザインのテーブル・椅子。
良い椅子ですねぇ…
書架横の椅子もオシャレ…
館内にはこういったプチ展示コーナーも多々あります。
全国の図書館員さんが本を紹介する「全国津々浦々〜図書館員の本棚〜数珠つなぎ」も!
瀬戸内市出身の漫画家さんがデビューされたとのことで、そのコーナーと、なんとサイン色紙も!
残念ながら図書館からテラスに出ることはできませんでした(鍵がかかっていました)。
新聞閲覧コーナー。
雑誌閲覧コーナー。
あんまり公共図書館では見ないラインナップのような。
雑誌のラインナップは個人的に読みたいものが多かった印象です。
バックナンバーはこの排架方法だと探しやすいですね。
館内にはピアノも。演奏会もするのでしょうか?(聞くのを忘れた)
個人的に一番好きな座席。瀬戸内の外の景色を眺めながら読書ができます。
しかも同じく好きな旅行書コーナーという…
窓が大きく、瀬戸内の空を眺めながら本が読める座席です。良いなぁ…
写真は以上です。
瀬戸内市民図書館を見学していて特に印象的だったのは分類方法と排架。
日本十進分類法を使いつつも、資料1冊1冊の分類を吟味して利用者目線でさらに独自の分類をして、さらに利用者の資料探索の視点や動線を考えて排架されていました。
一見すると本屋さんのようではあるのですが、実際には利用者が求める資料・情報にたどり着けるように考え抜かれた分類・排架になっているように思います。
今は開館直後で資料数がまだ少ないのですが、今後もこの方針を続け資料数が増えていった時にどうなるのかが楽しみな図書館です。
今回、事前に瀬戸内市民図書館・嶋田学館長に見学を申し込み、当日は開館からお昼すぎまでたっぷり図書館を見学させていただきました。
土曜日開館でお忙しい中ご対応いただき、また急な申し込みにも関わらず当日は午後から学校図書館に関するミニ講演会もさせていただき、瀬戸内市及び近隣の学校司書さんと交流する機会も作っていただきました。
瀬戸内市民図書館の皆様、ありがとうございました!