(む)昔話・民話[日本]」カテゴリーアーカイブ

こぶじいさま

昔々あるところにおおきなこぶのあるじいさまがいました。ある日じいさまはついつい山の深くまで木を切りに行ってしまい、帰れなくなってしまいました。しかたなくそこにあった山の神さまのお堂で眠っていると…

「こぶとりじいさん」の昔話。鬼たちが酒盛りし歌を唄って踊る様子には本来の鬼の怖さがあまり無く、一緒に最初のおじいさんが踊る様子もとても楽しげ。しかし踊りの節のところはどう読むか?読み手が悩むところです。松居直さんの再話と赤羽末吉さんの絵は、場面転換に合わせて文章がきちんと区切られており、絵はカラーとモノクロの絵が交互に続きます。不可思議なことが起こる場面ではモノクロになるようにしているのかな?淡い色遣いで、それでいて鬼やおじいさんたちの表情は豊かで、森の絵や墨絵がお話によく合っています。


あたまにかきの木

お酒がだいすきなじろべえさん。毎日飲んだくれの日々です。しかし、おかみさんから今日は稲を刈ってくれと頼まれ、酔い覚ましに柿を食べました。しかしあやまって種を飲み込んでしまい…

昔話らしい繰り返しの展開ですが、話がどんどんとんでとない展開になり、飽きないどころか聞く子どもたちは驚くことでしょう。また何より田島征三さんの豪快でダイナミックな絵がお話の面白さをより効果的に伝えています。ただし字が小さいので、練習が必要です。


はちかづきひめ

子どものいない夫婦が毎晩観音様に子どもが授かるようお願いをきていると、観音様が枕元に立ち、「間もなく女の子生まれる。女の子にははちをかぶせておくように。さすれば子どもは幸せになれる」と言いました。間もなく子どもは生まれ、夫婦は約束通り娘にはちをかぶさて育てましたが…

はちをかぶらされることで周りのりものにさげすまれ、継母には厳しくされついには捨てられ…と不遇の現代の虐待に通じるものも。その後の境遇もなかなか厳しく、またはちかづきもその境遇にただただ耐えるばかりです。こんな育てられ方をしたら耐える以外の方法が思い浮かばないのかもしれません。結局は運の良さのみで生き残り最後の大逆転で幸せになるはちかづき。「生きていればいつかは良いことが」と言いたいところですが、現代はそこまで甘くは無いかもしれません。それでも生き残ることの大切さは現代にも通ずるのかもしれません。