月別アーカイブ: 2014年3月

新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧

全6回にわたってこれから学校司書として学校図書館で働く方々に送る
アドバイスを書きました。その記事まとめです。

【新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧】

その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
…配属初日の流れや準備物等に関して書きました。

その2 学校組織と学校図書館について
…学校組織の中で学校司書・学校図書館がどういった立場なのかについて書きました。

その3 とりあえずすべき目の前の仕事
…4月1日〜新学期早々に差し迫って求められる学校司書の仕事について書きました。

その4 学校司書の基本的な仕事
…日常的な学校司書のごくごく基本的な仕事について書きました

その5 学校司書の立場
…「学校図書館」という教育機関の中の図書館で働く学校司書の立場・役割について書きました。

その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
…学校司書と関わりの深い学校の先生方・ボランティアさん・他校の学校司書さん公共図書館の司書さんとの連携について書きました。

新米学校司書さんに送るツイートまとめ
…以前Twitterにて新米司書さんへのメッセージをつぶやいたもののまとめです。よろしければこちらもご一緒に。


新米学校司書さんが注意すべきこと その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携

【新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧】
その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
その2 学校組織と学校図書館について
その3 とりあえずすべき目の前の仕事
その4 学校司書の基本的な仕事
その5 学校司書の立場
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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「その6」に書いたように学校司書は「ひとり職場」ではありません。
学校内で教職員の一員であることもさることながら、
市内の他の学校図書館や公共図書館とも繋がりがあります。
他のそれぞれの立場の方々とどのように連携するか、
あらかじめ知っておくと良いかと思います。

(1)管理職の先生
校長先生、教頭先生、学校によっては副校長や教務の先生など、
だいたい職員室の「前の方」に座っている先生方が管理職の先生です。
管理職の先生方は学校運営対して最高責任を持つ先生方であり、
当然学校図書館の運営に関しても責任のある立場です。
図書だよりの発行の際には校長先生に
内容をチェックしていただく必要がありますし、
本や備品の発注などもチェックしていただく
必要が有ることもあります(学校によりけりですが)。
また、管理職の先生は教職員の関係を円滑にする立場でもあります。
仕事をする上で他の先生方との関係が上手くいかなかったりした場合も
管理職の先生方はその相談を受けるべき立場にあります。
また、生徒指導に関しても管理職の先生は相談を受ける立場にあります。
例えばとある学級で生徒指導に関して気になることがあるが、
担任の先生には諸事情により言いづらい…
そういった場合には管理職の先生に相談するのが良いでしょう。
ただし、そういったことに積極的に関わろうとしない
管理職の先生も中にはいます。

(2)図書館担当・司書教諭の先生
学校内には学校図書館を担当する先生がいることが多いです
(全くいない学校も中にはありますが…)。
また、学校図書館に関する一定の単位を取得し勉強している
「司書教諭」という資格を持った先生もいらっしゃり、
12クラス以上の学校では司書教諭として任命されています
(ただしこれも学校によって任命されていない場合もあります)。
ただし任命されていても図書館担当でないケースもあります。

いずれにせよ、もし赴任した学校に図書館担当の先生がいれば、
その先生は学校司書と一緒に学校図書館の運営をする立場に有り、
学校司書と一緒にどのように学校図書館を運営し
学校図書館教育を推進していくかを考える立場に有ります。
ただし、残念ながら現在の教員養成課程では
学校図書館教育に関する科目がなく、
例え図書館担当の先生でも学校図書館にお詳しくない先生がほとんどです。
また、司書教諭の先生でも学校図書館に明るくない場合も多々あります。
学校司書が学校の中で学校図書館教育に一番詳しい、
ということもままあります。
しかし、それでも図書館担当の先生がいる限りは、
学校司書一人で何でも決めて実行していくのではなく、
一緒に話し合いをして学校図書館への認識を深めてもらうのが良作だと思います。
ただし、図書館担当の先生は担任の先生をしており、
実際にはそんな時間があまり取れないかもしれませんし、
学校図書館のことを考えるヒマもあまりないかもしれません。
学校図書館に関してもっと詳しくなろう、
という意識もあまりお持ちでないかもしれません。
それでも、学校図書館運営に関して何か新しいことをしようと言う場合は、
図書館担当の先生に事前に話を通す必要はあります。
そうしなければ、学校図書館運営に関する責任を学校司書ひとりで背負うことになります。

(3)担任の先生・専科の先生
管理職の先生・図書館担当の先生以外の先生方との関わりは様々です。
担任の先生であれば図書の時間や調べ学習を一緒にすることになりますし、
委員会活動や行事等で係る場面も出てきます。
ただし、学校図書館教育に関して理解があるかどうかは先生によって様々です。
中高であればさらに教科ごとによっても異なってきます。
重要なのは「学校司書が何ができるのか」をアピールしていき連携してもらうこと、
そして学校図書館に理解のありそうな先生を見つけ協力してもらうことです。
初めて学校司書になっていきなりはわからないかもしれません。
まずは様子を見つつ、ひとつひとつの仕事を覚えながら、
徐々にできることを増やしていきつつ、
先生方との連携を考えて進めていくのが良いかと思います。
いきなり大掛かりな授業連携などはできません。
特に自治体として初めて学校司書を置いたところなどではなおさらです。

また、小学校では担任の先生以外に「専科の先生」もいます。
算数の少人数学級・音楽・図工・家庭科・養護教諭などの先生です。
こういった先生方とは授業等で連携するのはもちろんですが、
職員室で給食をご一緒することにもなります
(小学校の学校司書は職員室で給食を食べることがほとんどです)。
こういった先生方は複数のクラス・学年を教えているので、
それぞれの受け持つクラスの状況に詳しいことが多いです。
給食の時間にそういったコミュニケーションを取ることも
学校司書として全クラスに関わる上で役立ちます。
また、給食に関しては、赴任した当初は
お盆に給食を載せて各クラスに行って食べる、
というのも児童・生徒たちとコミュニケーションを取るのに良いです。

(4)ボランティアさん
学校によっては学校図書館にボランティアさんが入っているケースもあります。
本の修理や配架(本の整理)、飾り作りなどを手伝ってくださっていたり、
休憩時間の学校図書館の開館をしてくださっていたり
(学校司書が毎日勤務できない場合)、
読み聞かせボランティアのチームがあって
授業や休憩時間・朝の時間に読み聞かせを行っているケースもあります。
ただし、ボランティアさんはあくまで「ボランティア」であり、
司書資格を有する方もいらっしゃればそうでない方もいらっしゃり、
当然ながら学校図書館に関する専門知識を持ちあわせていない場合も多々あります。
学校司書はボランティアさんとは異なり、
学校図書館に関する専門知識を元に学校教育に深く関わる立場であり、
図書館担当の先生とともに学校図書館運営の中心となる立場です。
ボランティアさんの手助けは大変ありがたいものですが、
学校図書館は個人情報を取り扱う場所でもあり、
その関わり方には慎重にならなければならないこともあることを
学校司書は知っておく必要もあります。
また、ボランティアさんの管理等を誰がするのか、という問題もあります。
雇用条件の厳しい学校司書には負担が大きすぎる場合もあります。
そういった場合は管理職の先生等にお任せするのも必要かと思います。

(5)他校の学校司書さん
自治体によっては全小中学校に学校司書を配置していたり、
1人2校以上兼務で学校司書を配置していたりと様々ですが、
たった1人だけ学校司書を配置している、という自治体は少ないと思います
(学校が小中1校しかない、という場合は1人かもしれませんが)。
以前から学校司書を配置している自治体であれば、
先輩の学校司書さんなので学校図書館の運営や
各学校の状況、図書館システムの使い方などにお詳しいでしょう。
その1で書きましたが、連絡を取る手段を確認しておき、
色々と教えていただきましょう。
また、自治体によっては学校同士で資料の貸し借りをしているところもあります。
図書館システムを通じて他校の本の所蔵状況が確認できたり、
図書館システムを使って貸出依頼ができるところもあります。
「公共図書館との連携」で後述しますが
そういった資料の運搬をしてくれる自治体もあります。
さらに、学校司書同士で定期的に集まって研修や連絡会を
行ったりしている自治体があったり、
先輩司書さんたちが新任司書さんに新任研修を行っているところもあります。
何にせよ、先輩司書さんたちがいる場合は大いに頼りにしましょう。

ただし、「初めて学校司書を配置する自治体」はこの限りではありません。
それまで学校司書を配置しておらずゼロからのスタート、
誰も市内の学校図書館の状況に詳しくない、というケースもあります。
ただ、そういった場合でも中には学校司書経験者がいるかもしれません。
学校司書経験者の方がいればその方に助けてもらいつつ、
横の連携=学校司書同士の連携をしっかり取って、
どのように学校図書館を推進していくかを考えていきましょう。
この場合、学校司書だけでなく先生たち
(例えば市の教科研究グループの国語教育担当グループの先生など)や
教育委員会の担当者、公共図書館の方も巻き込んで
市全体で学校図書館のことを考えていければベストです。
しかし、もし学校司書経験者すらひとりもいなかったら…
ネット上には学校図書館運営に関するノウハウを公開しているサイトがあります。

・SLiiiC 学校図書館プロジェクト
http://www.sliiic.org/

・青森県教育委員会「学校図書館活性化マニュアル〜できることからはじめよう〜」
http://www.pref.aomori.lg.jp/bunka/education/gakkou-toshokan_manual.html?
ref=rss

・大分県立図書館「学校図書館ハンドブック」
http://library.pref.oita.jp/kento/information/paper-publication/handbook/

・札幌市教育委員会「生かそう、使おう学校図書館ー学校図書館活用の手引-」
http://www.city.sapporo.jp/kyoiku/top/tokusyoku/dokusyo/21dokusyo.html

・那覇市立教育研究所「那覇市立学校図書館業務マニュアル」
http://www.nahaken-okn.ed.jp/kumoj-es/01_gakkou-annai/13_tosyo/keslib/sishoken/

・岡山県高校図書館司書部会「学校図書館実務の手引き」
http://okayama-hslibrary.com/?%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E9%A4%A8%E5%AE%9F%E5%8B%99%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D

・子ども読書県しまね 学校図書館(島根県立図書館)
http://www.lib-shimane.jp/dokusyoken-shimane/s-library/index.html
※学校図書館に関する用語集や改装事例有り

・ほんとも!〜学校図書館おたすけサイト〜 ※当サイト
http://hontomo.net/

また、書籍としては

学校図書館改装に関する書籍ですが、
学校図書館の役割や各学校図書館の状況分析についての記述が
初めて学校図書館で働く人にも役立ちます。

理論的・制度的な観点を学ぶのならば塩見先生の著書がおすすめです。

学校図書館と授業との連携に関してはこの4冊が、
探究型学習の意義や授業づくり、資料準備について役立つかと思います。

また、僭越ながらTwitterにて当サイト管理人が日々情報発信をしていますので、
そちらもご参照ください。
Twitter上には自分に限らず多くの学校司書さんが情報発信をされています。
https://twitter.com/typhoon516

(6)公共図書館
公共図書館がある自治体では、
公共図書館が学校図書館をサポートしていることも多いです。
授業で使用する資料等の貸出、
それも通常の利用者と異なり長い期間・多くの冊数を
貸し出してくれる場合が多いです。
また、Web上で資料の予約ができたり、
あるいはFAXやメール・電話で資料準備やレファレンスを
受け付けてくださるところもあります。
さらに、自治体によっては定期的に公共図書館や
他校の図書館から借り入れる本を配達してくれる自治体もあります。
そして、公共図書館の司書さんたちと学校司書とで
合同で研修等を行っている自治体もあり、
公共図書館の司書さんが学校図書館について詳しい場合もあります。
学校司書として配属されたら、
まずはその自治体の公共図書館に行って
挨拶をしたり学校図書館に関してお話を聞かせていただくのも
良いことだと思います。

以上、6回に渡って「新米学校司書さんが注意すべきこと」として、
これから学校司書として働く上で知っておくと便利なこと、
知っておいてほしいことを書きました。
「こういうことも書いておいた方が良い」
「こういうアドバイスも必要では」ということがあれば
コメント等でお知らせいただけるとありがたいです。
最後に、ここまで読んでくださった皆様、
そして新米の学校司書さんたち、
どうか無理せずできる範囲で頑張ってください。
皆さんのご活躍を祈念いたします。


新米学校司書さんが注意すべきこと その5 学校司書の立場

【新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧】
その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
その2 学校組織と学校図書館について
その3 とりあえずすべき目の前の仕事
その4 学校司書の基本的な仕事
その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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学校司書はよく「ひとり職場」と言われがちですが、
良識ある学校ならば普通はそんなことはありません。
教職員の一員として、学校組織の一員として
他の先生方と連携し学校図書館の運営や
学校図書館と授業との連携を進めていきます。

その前にまず学校司書として心得ておく必要があるのは、
「学校司書も子どもを教える立場である」ということです。
普通の図書館ではなく「学校」図書館、
「学校の中にある」図書館です。
学校図書館は教育の場です。
児童・生徒と接する場面は数多くあります。
学校司書は教員免許を持っていないとはいえ、
児童・生徒たちを指導せざるを得ない場面は仕事をする上で多々出てきます。
また、直接的な指導をせずとも、
日々児童・生徒と接することが児童・生徒たちの成長につながることもあります。
図書館や本の管理をするだけが学校司書の仕事ではありません。

また、教職員として学校の中にいる限り、
他の先生方との連携は必須です。
それは授業での連携だけでなく、行事や様々な場面で
助けあう必要が出てくることも有ります
(逆に先生方に学校図書館のことで助けてもらうこともあります)。
勤務時間の制限等のためそういった連携が可能かどうかは
ひとりひとりが判断すべきことですが、
「教職員の一員である」という認識は持っておく必要があります。

しかし、一方で残念ながら学校側が
「学校司書は教職員のいち員ではない」
「単なる派遣で来ている派遣社員」
「図書館の管理をするだけの事務員」
といった認識しかしていない学校もあります。

学校図書館はまだまだ発展途上、未開拓の状態の学校はたくさんあります。
そういった場合は
「学校図書館、学校司書が学校や教育課程の中でどんな役割を担うのか」を
学校司書から先生たちに伝えていく必要があります。
先生たちは悪意があるわけではなく、
単に学校司書が何をする人なのかわからない、
学校図書館をどう使えば良いのかわからないだけなのです。
そういった場合は学校司書が自らその役割を伝えて行かなければなりません。

残念ながら「学校司書なんて必要なの?」「いなくても良いんじゃないの?」
「学校図書館を使う教育なんて必要ない」
と思われている先生も存在します。
しかし学習指導要領には学校図書館の活用が書かれています。
学校図書館法にも「教育課程の展開に寄与」することが記述されています。

学校司書の雇用形態は自治体によって様々です。
上記のようなことを努めて行うのが難しい立場であるかもしれません。
無理をせず、可能な範囲で、学校司書としての自身の役割を考え、
学校司書としての職務を果たしてください。


新米学校司書さんが注意すべきこと その4 学校司書の基本的な仕事

【新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧】
その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
その2 学校組織と学校図書館について
その3 とりあえずすべき目の前の仕事
その5 学校司書の立場
その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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学校司書の仕事は多岐に渡ります。
それこそ、ブログの一記事などで紹介しきれるものではありません。
ここではごくごく基本的な仕事について書きます。
しかし、ここに書いている仕事の全てができるとは限りません。
おそらくこの記事を見ている新米学校司書さんは
残念ながらほぼ非正規雇用かと思います。
勤務時間や勤務日数が短い、
複数校を兼任される方も多いかと思います。
自分の勤務時間や勤務日数を考えて
可能な範囲で無理せずにお仕事をしてください。

(1)貸出・返却・予約・リクエスト・督促
これは学校図書館というよりも図書館としての
ごくごく基本的な仕事です。
なお、これらを行う際には
個人情報等に十分留意して行う必要があります。
誰が何を借りているか・返したか・予約したか・
リクエストしたか・誰が本を遅れているか、
などは個人情報であり取り扱いに十二分に注意が必要です。
また、これらをどのように行うかは図書館システムの機能や
貸出方式等でやり方も変わってくるかと思います。
図書館システムが入っていれば普通予約や督促も
機能が組み込まれているかと思います。
システムのマニュアルを読んでみましょう。
アナログなカード方式だと予約・督促は
大変手間のかかるものになってしまいます。
慣れない内は予約・督促を行うのは大変なので、
慣れるまではしばらく停止してしまうのもひとつの手段かと思います。

(2)開館(休憩時間、放課後、夏休み等特別期間)
開館時間等は学校によりけりです。
そもそも休憩時間が何時から何時かというのも学校によって異なり、
それに合わせて「昼休みは開館するけどそれ以外の休憩時間は開館しない」
「休憩時間が5分の場合は開館しないけど10分や20分の場合は開館する」など
学校によって様々なので、確認する必要があります。
また放課後開館するかどうかも学校によりけりです。
放課後は児童の下校時刻が決まっている、
放課後は先生が図書館に入れないので開館しない、というケースもあります。
このあたりは赴任された学校で事前に確認しましょう。
学校によっては夏休みや冬休みに開館する学校もあります。
それも学校によりけりなので確認しましょう。
また、学校司書の勤務時間や日数が短い場合は、
学校司書が不在の時に先生や図書委員やボランティアさんが
開館を行っている場合もありますので、これも確認しておきましょう。

(3)図書の時間
これは小学校で行われており、
中学校や高校の図書館ではあまり行われていないかと思います。
週1回(学校や学年によっては隔週など)ほど、
図書館に子どもたちが来て授業を行います。
この図書の時間に本の貸出・返却をしたり、
読み聞かせやブックトークを行ったり、
また調べ学習を行ったり調べ学習の調べ方の指導などを
行うこともあります。
どのような内容で行っているかは前任者や
他の学校司書さん、昨年度からいる先生に確認するのが良いでしょう。
特に調べ方指導等ではなく普通にする場合、
ウチでは

本の返却

読み聞かせスペースに座る

授業始まりの挨拶

大事な連絡などがあれば連絡

読み聞かせやブックトーク

本を棚に戻す(自分で戻すか司書が戻すかは学校次第)

借りたい本を選んで貸し出し手続き

残り時間は自由読書

という風に行っています。
返却を最初に一斉に行うのは、
その方が後で貸出と返却がごた混ぜにならず混乱しないからです。
また、図書の時間は「息抜きの時間」ではありません、あくまで「授業」です。
子どもたちにとっては他の授業より楽だったり、
場合によっては先生も息抜きの時間と捉えていたりもします。
しかしあくまで「授業」なので、静かに本を読む、
友だちとおしゃべりをしないなどのルール決めは必要かと
個人的には思います。
また、この図書の時間でそういった点を注意して行わないと、
休憩時間の利用マナーも乱れるように思います。

(4)読み聞かせ・ブックトーク・アニマシオン
これは小学校のみならず中学校・高校でもすることがあります。
読み聞かせは絵本を読んだり詩を朗読したり、
場合によっては文学作品を朗読したり、
ブックトークは季節や行事、
あるいは授業内容などに合わせてテーマを決めて
本を紹介したり読み聞かせを行ったりします。
小学校では図書の時間に主に行う他、
授業に出張して行ったりする場合もあります。
また、「アニマシオン」というのは、
本を使って様々な「作戦」(適切な表現ではないかもしれませんがゲームのようなもの)
を行うことで子どもたちの本を読む力を育てるものです。
準備や実施に時間がかかり先生方の協力や
本を複数冊用意するなどの手間もあるので、
新米学校司書さんがいきなり行うのは
大変むずかしいと思いますので、まずは知識として
「アニマシオン」というものがあると知っておく程度で良いかと思います。
なお、「ほんとも!」にはジャンル別・月別の読み聞かせブックリストや
行事・記念日等を登録した読み聞かせカレンダーがあります。
サイト上部にあるメニューのリンクからご覧いただけますので、
ぜひご活用ください。

(5)オリエンテーション
図書館の使い方を教えることです。
本の借り方・返し方や本を元の場所に戻すこと、
図書館での過ごし方やマナー、予約の方法、
開館日や開館時間、
本の並びについて、本の分類について、
日本十進分類法についてなど、
図書館の利用方法について児童・生徒に教えます。
児童・生徒は学校図書館を使うだけではありません。
地域の公共図書館を使うこともあります。
また、卒業してからも大学図書館を利用したり、
公共図書館やはたまた国立国会図書館など
様々な図書館を利用することも有ります。
それらを上手く利用できるように教えることはもちろん、
生涯にわたって図書館ユーザーであるように、
生涯図書館を使って学び続けられるように、
図書館の使い方だけでなく図書館を使うことの意義、
図書館の役割なども伝わるように
オリエンテーションを行いたいものです。

(6)授業支援・レファレンス(資料・情報探し)
学校図書館は学校図書館法で「教育の展開に寄与する」と定められています。
学校教育や授業・委員会活動等がより効果的に行われるよう、
学校図書館は求められればその支援を行わなければなりません。
具体的には、授業や調べ学習で使用する資料を準備したり、
授業や調べ学習で使えそうな情報(本に限らない)を探し出したり、
また授業という場面に限らず休憩時間等様々な場面で
児童・生徒の資料や情報探しを手助けする必要もあります。
また、市町村によっては公共図書館からの支援を受けることができ、
公共図書館から資料を借りることができたり、
学校図書館だけでは対応できない場合に
公共図書館が資料・情報探しを行ってくれる場合もあります。
また、公共図書館に限らず博物館・美術館等の文化施設などを活用する方法もあります。
いずれにせよ、学校図書館は単なる読書センターではなく、
授業支援や資料・情報センターの役割を担う必要があります。

(7)図書だより作り
図書だよりは児童・生徒に本の紹介をしたり、
夏休み貸出やその貸出期間、夏休み開館、
新着図書の紹介、利用マナーについてなど、
図書館の様々な案内をするための文書です。
PCで作成したり手書きで書いたり、
B4裏表だったりB51枚だったり、
作成頻度も月1回から毎週などなど、
作り手によって様々です。
また、図書だよりは児童・生徒だけでなく、
児童・生徒が持って帰って保護者の方も読みます。
図書だよりは保護者への学校図書館の広報誌でもあります。
また、先生たちも当然目を通しますし、
児童・生徒向けとは別で先生向けの図書だよりを発行したり、
家庭向けの図書だよりを発行する方もいらっしゃいます。
無理の無い範囲で発行しましょう。
また、学校によっては図書館担当の先生が発行される場合もあります。
なお、発行の際には必ず作成後図書館担当の先生に見てもらい、
さらに校長先生など管理職の先生に内容を確認してもらう必要があります。

(8)図書委員会活動
本来なら図書委員会は先生が指導するものですが、
学校司書も図書委員会に関わることもあります。
しかしあくまで指導の主体は先生が行うべきものなので、
学校司書は本来なら関わらない、
関わったとしても補助的な役割を担うのが普通です。
しかし学校によっては学校司書が主となって行っている学校もあります
(特に高校図書館でそういった場合が多いようです)。
高校図書館の事情はわかりませんが、
小学校・中学校は本来なら先生が行うべきものですし、
新米学校司書さんが委員会の指導をいきなり行うのは大変難しいと思います。
図書委員会担当の先生がどなたなのかを確認し、
先生に一任して、「学校司書になったばかりでわからないので
先生にお任せします」とお願いして関わるとしても
あくまで補助的な立場であることをやんわりと伝えましょう。
また、図書委員会はよく休憩時間の開館当番をして、
貸出・返却を行うことが多いように思います。
個人情報保護の観点から図書委員会が貸出・返却を行うのは賛否両論ありますが、
もし委員の児童・生徒が貸出・返却を行う場合は、
事前に誰が何を借りていたかなどの情報は絶対に秘密を守ること、
またカウンターなどで茶化したりしないこと、
そして貸出・返却ミスが起こらないようにしっかり見守りましょう。
また、本来ならこの休憩時間の当番も委員会活動なので、
委員会担当の先生が入るべきです。
先生方は忙しいのでなかなか入れないかもしれませんが、
もし図書館で生徒指導的な問題が起こったりした場合も考慮して、
特に中学校では先生に入ってもらえないかどうか
図書委員会担当の先生に聞いてみましょう。

なお、本当はあってはならないことですが
もし図書委員会が学校司書に「お任せ」状態であったならば、
委員会の指導は「最初が肝心」です。
まず、そもそも委員会活動というものは先生たちだけでなく
児童・生徒たちも学校の運営に関わって
学校をより良くするためのものであるという意義を確認し、
その上で図書委員として学校図書館をどうより良くしていくか、
児童・生徒達自身が考えて活動していくのが「委員会活動」です。
このあたりを強調して最初にしっかり伝えておかないと、
委員会活動がなあなあになってしまうように思います。
自分たちが学校をより良くする担い手であることを
認識できるように「最初に」しっかり教える必要があるように思います。

(9)掃除
掃除も委員会活動と同じく本来は先生が指導することなのですが、
昨今の先生不足のためほとんどの学校で
学校司書が掃除の指導も行っているように思います。
小学校ならば図書館の掃除担当の学年・クラスが決まっていたり、
あるいは「縦割り」と言って色んな学年の児童が掃除担当だったりして、
毎日掃除の時間があります。
中学・高校では放課後に週1回か2回掃除の時間があったりと、
小学校とはまた違うようです。
委員会でも書きましたが、掃除も同じく「最初が肝心」のように思います。
特に小学校では箒の使い方や雑巾の絞り方を知らない児童もいます。
図書館のどこをどんな風に掃除するのかというのを
最初にしっかり教えておくと、その後まじめに掃除に取り組むように思います。
自分の場合、1回目の掃除ではほとんど掃除は行わず、
ホワイトボード等を使ってしっかり掃除の手順や方法を教えています。
繰り返しになりますが委員会も掃除も「最初が肝心」だと思います。


新米学校司書さんが注意すべきこと その3 とりあえずすべき目の前の仕事

【新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧】
その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
その2 学校組織と学校図書館について
その4 学校司書の基本的な仕事
その5 学校司書の立場
その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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初めて学校司書になると一番悩むのは

「何をすれば良いの?」

ということだと思います。
あと1週間後くらいには新学期が始まる、
それまでにどんな準備をしておかなければならないのか…
本来なら前任者から引き継ぎがあったり、
新任学校司書に対する研修があるべきなのですが、
前任者が引き継ぎ資料をちゃんと残していなかったり、
雇用条件の厳しい学校司書に研修はなかったりします。
以下はさしあたって確認してすべきことです。

(1)貸出・返却方法の確認
(2)学年の更新がされているかどうか
(3)新入生の利用者登録
(4)図書館の利用規則
(5)オリエンテーションの内容
(6)「図書の時間」の有無(小学校)
(7)年間計画の確認・職員会議での提案

(1)貸出・返却方法の確認
もっとわかりやすく言うと
「パソコンが図書館にあって図書館システムが入っているかどうか」です。
図書館システムがあってパソコンでピッピッと
貸出・返却ができるようであれば、
その図書館システムのマニュアルを探しましょう。
前任者が新設ならばカウンターに置いてくれているはず、
なければカウンター周辺や司書室を探してみましょう。
もし図書館システムが入っていなければ、
どんな貸出方式かを確認する必要があります。
これも引き継ぎ資料があれば良いのですが、
無ければ昨年度からいる先生などに
「どんなやり方で本の貸し借りをしていましたか?」と
聞いてみましょう。
ハンコで返却日を押してカードを入れ替える方式か、
代本板を使う方式か、手書き方式か…
これを確認しておかないとあとの作業もままなりません。

(2)学年の更新がされているかどうか
「学年の更新」というのは、
新学期になってひとつ学年が上がるのに合わせて、
図書館システムの利用者情報が新しい学年に更新されているかどうか、ということです。
例えば去年小学校5年生だった学年の児童は、
6年生になっていないといけません。
その更新をシステム上で前任者が既にしていてくれたら良いのですが、
されていない場合もあります。
マニュアルを読んでみたり他校の司書さんに聞いてみて、
更新がどうなっているのか確認してみましょう。
また、システムによっては同じ市町村内全校で
一斉に更新する場合もありますので、
そのあたりも教育委員会の担当者の人や他校の司書さんに確認してみましょう。

なお、図書館システムが入っていない場合は、
例えばカード入れ替え方式だと新しく利用者カードを作る必要があったりします。
これは毎年の仕事なので昨年度からいた先生に聞けば
わかるかと思います(本当は引き継ぎ資料があるべきなのですが)。
カウンター周辺から新しいカードを探したり、
新しいカードをどうやって作っていたか
(学校司書が作っていたのか、担任の先生にお任せしていたのか)など
このあたりも確認しましょう。
なお、中学校などでは新しくカードを作らず、
学年が上がっても引き続き同じカードを使うケースもあるようです。

(3)新入生の利用者登録
これは図書館システムの有無に関わらず必要な作業です。
新入生をシステム上で登録したり、
アナログなカード入れ替え方式でも新しいカードを作る必要があります。
なお、図書館システムが入っている場合は
Excelなどで新入生一覧のファイルを作成して、
そのファイルを利用して一括で登録できる機能があることが多いです。
そのあたりもマニュアルを読んだり他校の司書さんに聞いて
確認しましょう。

(4)図書館の利用規則
(5)オリエンテーションの内容
貸出冊数は何冊か、予約は何冊か(そもそも予約をしているのか)、
開館日や開館時間、館内の本の配置=配架、
返却された本を児童・生徒が自分で返すのか、などなど、
図書館の利用規則を確認する必要があります。
また、それを確認しておかないと
オリエンテーションのしようがありません。
これも引き継ぎ資料があれば良いのですが、
なければ図書館担当の先生や昨年度からいる先生に確認しましょう。

特にオリエンテーションは新米司書さんにとっては
まず最初に当たる壁だと思います。
校種によっても、学年によっても教える内容が異なり、
いきなり上手くオリエンテーションを行うのはかなりの難易度です。
最低限必要なのは、

・図書館の利用マナー
・貸出冊数・貸出期間
・予約冊数・予約取り置き期間
・図書館の本の配置について
・図書館の本の配置と分類について(小学校3〜4年生以上?)

こういったことかと思います。
もしかしたら前任の方がオリエンテーション資料を
残してくださっているかもしれないので、
カウンター周辺やPCのファイルを探してみましょう。

(6)「図書の時間」の有無(小学校)
これは小学校に赴任する学校司書さんの話です。
学校司書がいる学校では「図書の時間」が行われている学校が多いです。
各クラスが週に1回図書館に来て授業をします。
絵本の読み聞かせをしたり、上述のオリエンテーションをしたり、
授業に関連してブックトークをしたり、調べ学習をしたり…
この時間に本の貸出・返却をすることも多いです。
また学年によっては隔週で行うクラスもあります。
どのように図書の時間が行われていたか、
前任者の引き継ぎ資料や図書館担当の先生、
昨年度からいる先生に確認してみましょう。

(7)年間活動計画の確認・職員会議での提案
学校ではどの部会も年間活動計画を作成し、それを元に活動をします。
学校図書館も普通なら年間活動計画を作成しているはずです。
新米学校司書さんが一から作成するのは難しいので、
とりえあず昨年度のものを確認し、
内容に問題が無ければ(いれば)図書館担当の先生と内容を一緒に確認し、
学校図書館に関する部会があればその部会でも確認し、
最後に職員会議にかけて学校全体で内容を確認してもらいましょう。
なお、このあたりの仕事は学校司書がしなければならないわけではないので、
図書館担当の先生がいればその先生にお任せでかまいません。
また、もし年間計画が無ければ(これまでもずっと無かったのであれば)、
今年度は作成を見送り、今年度の活動を見据えて
来年度きちんと作成する、という方法もあります。
いずれにせよ、学校司書に初めてなっていきなり
年間計画を作成するのはかなりハードルが高いので、
無理せず既存の状況で対応しましょう。


新米学校司書さんが注意すべきこと その2 学校組織と学校図書館について

【新米学校司書さんが注意すべきこと】
その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
その3 とりあえずすべき目の前の仕事
その4 学校司書の基本的な仕事
その5 学校司書の立場
その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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学校もひとつの組織であり、
組織である以上管理職の元、教職員が構成立てられています。
組織形態は市町村・学校によって様々ですが、
基本的には様々な「部会=部門」があって、
先生たちが部会に所属してその役割を担っています。
例えば、授業研究部会、生徒指導部会、教務部会、人権教育部会、などなど…
本当に学校によって部会の種類や構成も様々です。
なお、年度始めにはこの学校組織の構成表が配られ、
誰がどの担当になるかが職員会議で話し合われます。

可能なら職員会議に参加して学校の組織構成を知っておくのが良いかと思います。

その上で、学校司書として確認しておくべきことは、

(1)図書館担当の先生は誰か(もしくは誰もいないのか)
(2)学校図書館の部会があるのか
(3)学校図書館の部会があったとして、どういったメンバー構成か
(4)学校図書館の部会が無いならば、学校司書はどの部会に所属するのか
(5)学校図書館の部会も無く図書館担当の先生もいないケース

の5点です。

(1)図書館担当の先生は誰か(もしくは誰もいないのか)
まず確認すべきは学校図書館担当の先生が誰か、です。
学校内で学校図書館に関することを担当する先生、
というのを決められていれば、その先生に色々と話を聞けます。
ただし、この担当はまだ決まっていない場合もあります。
4月1日以降の職員会議で話し合って決めたり、
司書教諭という学校図書館教育に関する資格を持つ先生の中から
話し合って決めたりすることもあります。
ともかく、教頭先生など管理職の先生に
学校図書館担当の先生がいるかどうか確認してみましょう。
決まっていない場合でも、前年度の先生を教えてもらって
色々聞いてみるのも良いかと思います
(ただし新しく図書館担当になった先生の気分を害さない程度に、
新しい図書館担当の先生と一緒に話を聞いてみるなどして)。

しかし、学校図書館担当の先生がいない、
そういった役割分担を組織として決めていない学校もあります。

それでも学校司書がどこかの部会に所属していて、
その部会が学校図書館教育も担っているというのであれば
その部会の先生方に協力していただいたり助けていただいたりできるのですが
下手をすれば学校組織の中で学校図書館がどこにも所属しておらず、
学校図書館教育に関わるのは学校司書だけというケースもあります。
新米学校司書さんにとってはかなり厳しいケースですが、
可能なら管理職の先生に
「私も新米で右も左もわからないので、
学校図書館担当の先生がいる助かるのですが…」
と相談してみましょう(かなり勇気がいるかもしれませんが…)。
また、学校図書館が組織の中で位置づけられていないというのは
本来ならばおかしなことです。
4月の頭に考えるべきことではないかもしれませんが、
その年度末に
「学校教育の中に学校図書館が位置づけられていない」
「学校司書ひとりで学校図書館教育を担うのはおかしい」
「学校全体で学校図書館教育を研究・推進すべき」
という風に年度末反省で出しましょう。

(2)学校図書館の部会があるのか
学校によっては、組織の中に学校図書館に関する部会がきちんと
位置づけられているケースもあります。
そういった場合は、その部会の先生方に色々と聞いてみましょう。
ただし、まだ4月1日の時点ではメンバーが決まっていないこともあるので、
教頭先生に前年度の担当の先生などを教えてもらって
前年度の先生に色々と聞きたいことがあれば聞いてみましょう。

また、学校図書館と銘打ってはいないものの
どこかの部会が学校図書館の部会も兼ねている、という場合もります。
そういった場合もその部会の先生に確認してみましょう
(学校図書館に関しては何もやってない、ということが多いかもしれませんが…)

(3)学校図書館の部会があったとして、どういったメンバー構成か
これは校種(小・中・高・専門高校・支援学校)などによって
また色々と変わってくるかもしれません。
小学校ならば例えば各学年から1人ずつ所属しているとか、
中学校ならば国語教育の先生で構成されているとか、
高校だと事務的な組織になっている、などという場合もあります。
メンバー構成によって学校図書館教育がどのように推進されているのか、
どのような位置づけなのかが掴めることもあります。
冒頭に書いたように年度始めには学校組織の役割分担を決める会議があります。
どんな先生たちでメンバー構成されているか確認しておきましょう。

(4)学校図書館の部会が無いならば、学校司書はどの部会に所属するのか
残念ながら学校図書館に関する部会が全く無い
(他の部会が兼ねていたりもしない)場合もあります。
ただ、そういった場合でも学校司書がどこかの部会に所属している、
というケースもあります。
例えば教育研究関連の部会(授業研究部会とか)に所属している場合もあれば、
視聴覚教育部会に所属しているとか、
(3)のように事務的な部門に所属しているケースもあります。
部会が無ければ、学校司書がどこかの部会に所属していないか、
学校組織の構成表で確認したり管理職の先生に確認したりしてみましょう。

(5)学校図書館の部会も図書館担当の先生も無くどこにも所属しないケース
残念ながら学校図書館の部会が全く無くて、
図書館担当の先生もいなくて、
どこの部会にも所属していないケースもあります。
つまり、学校図書館教育に携わるのは学校司書ひとり、というケースです。
残念ながらそういう学校もあります。
学校組織の中に学校図書館を位置づけていない学校です。
こうなると「誰も学校図書館についてわかる人がいない」と思ってしまいそうですが、
しかし位置づけられていないからといって、
誰も学校図書館について何も知らない、ということはありません。
前任の学校司書がいれば引き継ぎ資料等があるかもしれませんし、
昨年度からいる先生に「学校司書ってこれまでどんな感じでしたか?
学校図書館ってどんな感じでしたか?」と聞くこともできます。
特にベテランの先生や若手でやり手の先生が頼りになります。
また、他校の学校司書さんに聞いてみるのも手です。

また、いわば手付かずの畑のようなものなので、
これから色々と耕すやり甲斐もあるといえばあります
ただし、学校図書館教育に批判的な先生がいる可能性もあるので
慎重に見極めなければなりませんが…
ともかく、誰か助けになってくれそうな人を見極めて、
手助けしてもらいましょう。


新米学校司書さんが注意すべきこと その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと

【新米学校司書さんが注意すべきこと】
その2 学校組織と学校図書館について
その3 とりあえずすべき目の前の仕事
その4 学校司書の基本的な仕事
その5 学校司書の立場
その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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以前、新米の学校司書さんに向けたTwitterのつぶやきを
まとめにしたことがありました。

・新米学校司書さんに送るツイートまとめ
http://togetter.com/li/281892

しかしこれを一から読むのも手間だしわかりにくいなぁ…
と思ったので、おおよそ4月1日から始業式までの間の、
学校の作業や会議の流れと
新米学校司書さんが注意しておくべきこと、
学校司書として働く上で確認しておくべきことなどを
もう少しわかりやすくまとめたいと思います(複数回で)。
なお、想定しているのは市町村雇用で、
新規採用された学校司書さんを想定しています。
私立学校の司書さんたちはまた違うと思います。

<4月1日、辞令交付式>
新規採用で学校司書になった場合、
まず市役所で「辞令交付式」に参加します。
スーツまたはできるだけフォーマルな服装で参加しましょう。
(ジーンズで参加しても誰も文句は言わないと思いますけど…)
他に新規採用の方がいらっしゃれば一緒に辞令を交付されますし、
雇用形態によっては前年度から引き続き勤務されている
先輩の学校司書さんたちも一緒に受ける場合もあります。
できれば自分の行く学校はどんな学校なのか
(辞令交付式で赴任する学校がわかります)、
パソコンシステムが入っているのかどうかや
新年度にすべき仕事にどんなものがあるかなどが聞ければ良いのですが
初対面だし辞令交付式が終わればすぐに学校に行くので
あまりお互い時間はありません。
しかし、せめて簡単に挨拶等して
可能なら連絡先を交換したりしましょう。

「初めてなので何もわからなくて…
聞きたいことも出てくるかもしれないので
連絡先教えていただいてもよろしいですか?」
などというようにお願いしてみましょう。
また、司書同士の連絡用にメールアドレスが割り当てられていれば
それを教えてもらうのも良いかと思います。

なお、辞令交付式に参加している全員が新任、
つまりその市町村がその年度から初めて学校司書を配置する場合は、
全員連絡先を交換しておきましょう。

絶対わからないことだらけで困ると思うので、
いつでも連絡を取り合えるようにしておくのが良いです。
学校司書経験者がいると良いのですが…

<辞令交付式後、学校に赴任>
辞令交付式が終わったら、赴任する学校に移動します。
教頭先生や校長先生が迎えに来てくださる場合もありますし、
教育委員会の方が送ってくださる場合もあれば、
もちろん自分で移動する場合もあります。
送り迎えがあれば送り迎えしてくださった方が
校長先生に紹介してくださるでしょうが、
自分で行った場合はまず校長室や職員室に行って
校長先生にご挨拶しましょう。
ただ、この時点で既に学校では職員会議をしているケースもあります。
職員会議中だとその場で全教職員に自己紹介…ということもあります。
また、午前中は会議が無くて、午後から新任教員と一緒に紹介、
などのパターンもあります。
いずれにせよどこかで自己紹介をする場面があると思うので、
事前に1分程度の自己紹介の内容を考えておきましょう。

なお、残念ながら教職員に紹介されないケースもあります。
そういう酷い学校も中にはあります。
管理職がそこまで考えが至らないのでしょう。

そういう場合は教頭先生にこっそりお願いする…などの手もありますが、
なかなか自分から言い出すのは難しいかと思います。
また、そういう学校は得てして学校司書に対する理解が低かったりもします。
自己紹介が無い場合は様子見をしつつ、
なるべく先生たちとコミュニケーションを取って
打ち解けて自分の存在を知ってもらいましょう。

(自己紹介の有無に関わらず大事なことですが…)

<職員室の机移動作業>
初日は職員室の机移動作業が必ずあります。
なお、職員室に学校司書の机がある場合とない場合があります。
そのあたりは管理職の先生(教頭先生)に確認してみましょう
(あればこの時点で既に教えてくださってると思いますが)。
机移動は掃除も兼ねていて結構汚れてしまいます。
ジャージを持参しておくとスーツを汚さずに済みます。
軍手もあると何かと便利です。
着替え場所はこれも教頭先生に更衣室の場所を聞きましょう。

なお、4月2日以降も何かと汚れる作業があったりするので、
ジャージは2日目以降も更衣室のロッカーに入れる(あれば良いのですが…)
などして学校に置いておくと良いでしょう。

<学校で使う備品>
はさみ、のり、ペン、セロテープ等々…学校で使う備品は、
常識的な学校ならば学校から支給されます。
事務の方や教頭先生が管理されていることが多いです。
自分愛用のものを持って行っても良いですが、
事務の方や教頭先生に聞いてみましょう。
また、図書館に前任の方が置かれている場合も多いかと思います
(前任の方がいれば)。


清教学園研究報告会「入学時からはじめる読書生活の習慣化」

3月8日(土)に行われた
学校法人清教学園文部科学省委託研究報告会
「入学時からはじめる読書生活の習慣化―学校図書館と学校司書の役割―」
に参加させていただきました。
研究報告会の詳細はこちら(※PDFファイル)です。

当日は報告会の開始前に1時間、
清教学園の学校図書館「リブラリア」の見学時間がありました。
清教学園は中学・高校の私立学校ですが、
探究型学習に力を入れており、
特に中学校2年生〜3年生で行う卒業研究、
高校2年生〜3年生で行う卒業論文が有名です。
当日は生徒さんが作成された卒業研究や卒業論文も展示されていました。

卒業研究は私が勤める学校でも昨年度の6年生で行ったのですが、
その際のトップ5クラスの完成度のものが
この清教学園の中等部の卒業研究では平均レベル。
さすが中学生、また巻末の引用文献も小学校とは異なり
専門的な資料が多い印象です。
また、後頭部の卒業論文は大学生顔負けの内容です。
研究テーマも難しそうなものが多く、
テーマの定義から始まり、先行研究をしっかり読んで分析し、
フィールドワークも時間を書けて行っている印象でした。
また、卒業論文を書いた生徒さんにパスファインダーを作成してもらっており、
パスファインダーは参考文献やサイトだけでなく
マインドマップも掲載されていて、
後輩の生徒さんたちに大いに参考になるものでした。
パスファインダーだけでなく生徒さんの作品も開架にあり貸出もしていて、
研究を積み重ねてブラッシュアップされているのだと思います。
また、卒業研究・卒業論文を支える蔵書は
学校図書館とは思えない・公共図書館でもこれほどではない、
生徒の探究を支える充実した蔵書でした。
書架を眺めていると並んでいる本がまるで「プチ大学図書館」
というような印象です。
どの分類もテーマに親しむきっかけになる簡単な内容の本から
研究をするための論理的な本まで幅広い蔵書でした。
見学タイムは1時間だけでしたが、
この見学だけで既にお腹いっぱいになりそうでした。

見学が終わり、いよいよ研究報告会。
文科省委託研究のテーマは「入学時からはじめる読書生活の習慣化」。
おそらくどこの学校も抱える課題だと思います。
発表では

「探究型学習には読書力が欠かせない」

にも関わらず

子どもたちの抱える課題として

「テーマが決められない、知的関心の乏しさ、
 計画性の欠如、知識・語彙力の読解力の低さ」

が挙げられていました。
以前東京大学中等部の卒業研究に関する公開研究会でも
同じような課題が上がっており、
私の勤める学校で卒業研究を行った時も
似たような課題が出ました。
どこの学校も抱える課題がこれだけ似ているとなると、
その原因が果たしてどこにあるのか。
清教学園ではその原因として

「知識を仲立ちするメディアに対する信頼感の欠如、
 肯定的な学習観の欠如」

を挙げられていました。
そしてその原因の解決のためには
「入学時からはじめる読書生活の習慣化」が必要と考え、
「すくど文庫」と「おためし読書」の2つの実践を行われており、
その発表がこの研究報告会で行われました。

「すくど文庫」とは入学したての新1年生向けの文庫。
2013年度時点で合計約2300冊、
内文学が約1400冊で残りがノンフィクションです。
フィクションは中学校の司書教諭の先生が、
ノンフィクションは館長であり高等部司書教諭の先生が
選書されています。
フィクション・ノンフィクションともに選書方針も決めておられ、
本の難易度も読みやすいものから難しい物まで幅広く選書されているとのこと。
すくど文庫のねらいは「おもしろい本と出会う機会」を作ることであり、
カウンター近くに置き司書教諭や司書との
コミュニケーション作りも目的にされています。
また、そういった面白い本との出会いや職員との接点を作ることで、
図書館への信頼を増すことも目的にされているとのことでした。
すくど文庫設置後は1年生の貸出冊数も順当に伸びていました。
また、学級文庫への貸出も来年度から予定されているそうです。
すくど文庫のリストは冊子として生徒さんに配られ、
冊子には読書記録を付けるページもついています。
小学校で読書教育を受けていない、読書に馴染みのない生徒さんには
本と出会う良いきっかけになるように感じました。

そしてこの「すくど文庫」を活用した
「おためし読書」という授業が行われているのですが、
その前に「カウンターから見える学校司書の任務」として
清教学園における学校司書さんの業務の説明がありました。
高校の全クラスでの利用案内、新刊案内の配布、
コーナー展示やブッカー選手権、図書館クイズ、
クリスマス会(クリスマスの工作をされていました)
などを行われているとのことでした。
図書委員会もこれらの活動に関わっているようでした。
また、カウンター・フロアワークの統計を取り、
生徒さんとの対応がどのようなものがあり
どのような対応をしているかを分析されていました。
約1ヶ月間強の間に対応件数は100件、
読書案内やレファレンス・利用案内から、
利用マナーの悪い生徒さんの対応なども
詳細にどのように対応しているか報告されていました。
生徒さんから悩み相談などされることもあるのは
中高両方の生徒が利用する図書館ならではかなと感じました。
ただ、一方で利用案内が利用マナーの向上につながっていないのか?
また探究型学習と学校司書の関わりはどのようなものなのか?
読書相談やレファレンスが読書生活の習慣化や
探究型学習にどのように貢献しているのかが
少し見えてこなかったのが残念でした。

休憩を挟んで(なんと飲み物とお茶菓子が出ました)、
最後は冒頭の「すくど文庫」を活用した「おためし読書」の発表でした。
「おためし読書」とは総合学習の時間に行われる授業。
フィクションならば2冊を7分間で、
ノンフィクションならば3冊を5分で、
拾い読みや冒頭を読むなどしてともかく短い時間で
本を「おためし」で読み、時間がきたら読んだ本を4段階で評価。
1回目が終わったら本を回し、また違う本を読んで評価し…
というのを授業1時間の間に繰り返す、という内容です。
この「おためし読書」のために「すくど文庫」から
フィクションの本87冊、ノンフィクション129冊を選び出し
「おためし読書」に使用されています。
フィクションは司書教諭の先生が選ばれたものと
評価の定まっている作品が、
ノンフィクションは中学生の読書ニーズにあったものを
選書されているとのことでした。
リストを見みてみるとフィクションは確かに
ここ数年で評価の高かった作品や何十年も読み継がれている名作が、
ノンフィクションは多種多様な作品やマンガも入っています。
「おためし読書」の生徒さんの評価は回収して
データ分析し、1冊1冊の評価点数や
男女別の傾向や共通の人気作品などを観て、
さらにリストをブラッシュアップされているようです。
ただ、ここでもこの選書に学校司書さんが
どのように関わっているのかが不明でした。

「おためし読書」は参加者で実際にやってみたのですが、
読書好きな自分としては未知の本と出会う楽しみがあり、
次にどんな本が回ってくるか?どの本を読もうか?と、
楽しく読むことができました。
これが読書嫌いの子の立場になって考えてみると…
判断が難しいところです。
これを5回も6回も繰り返されると苦痛ではないか?
一方で選書が上手くいけば面白い本との出会いが確実に作れて
読書を好きになるきっかけ作りができるのでは?と感じました。
それだけに、選書が非常に難しいように思いました。
フィクション作品はともかく冒頭が面白い作品、
超有名な作品や映画化された作品などを意識して選ばれているのかな?
とリストを見て感じました。
ノンフィクションはおそらく卒業研究や卒業論文で
子どもたちがよく選ぶテーマの分類の本で、
中学生でも読みやすそうなものを選書されているように思いました。
た詩歌の本がどちらにも1冊も入っていないのが少し気になりました。
また、この「おためし読書」は学期に1回行ったとのことですが、
何回も続けて行うのは厳しいなと感じました。

発表終了後の質疑応答は無し、研究報告会に関するアンケート解答は
紙とともに「REAS」という無料のアンケートサイトも利用されていました。
REASを使って解答しようとしたのですが
書き終わって送信しようとしたらタイムアウトに…
あらかじめログインしていて長時間経っていたのが原因かと思います。
ただ、これなら後日家に帰ってからゆっくり解答できるのが
良いかなと感じました。

「読書生活の習慣化」は学校図書館が長年抱えている課題かと思います。
清教学園の「すくど文庫」はオーソドックスな取り組みではあるものの、
「おためし読書」でさらにもう一歩踏み込んだ取り組みをしている印象です。
朝の読書も行われているとのことなので、
学級文庫での「すくど文庫」の活用も効果的なように感じました
(学級文庫には感想ノートも一緒に置かれていました)。
ノンフィクションの本も幅広く入っているので、
卒業研究や卒業論文にも繋がっていくのだと思います。
またこの「すくど文庫」や書架に並んでいる蔵書を見ると
ともかく選書にとても力を入れられているのが伝わってきました。
ただ、そこに学校司書がどう関わっているのか?
というのをもう少し聞いてみたかったところです。
また、図書館自体は蔵書は素晴らしいのですが
中高の生徒さん約2000名に対して狭すぎる、
閲覧席も少なすぎるように感じました
(ウチも人のこと言えないのですが…)。

以上、研究報告会の感想でした。
読書教育や探究型学習を考える上で、
やはり清教学園の取り組みはいつも大変参考になるなぁ、と
改めて感じました。
清教学園関係者の皆様、発表ありがとうございました。