(な)夏」カテゴリーアーカイブ

オニヤンマ空へ

夏のはじめに、たけるの家族はお墓参りをして風の谷公園でお弁当を食べ、遊んで帰ります。公園の小川でたけるは大きなヤゴ(とんぼの幼虫)を捕まえました。ヤゴはやがてオニヤンマへと羽化し、たけるはオニヤンマを風の谷公園に返すため、一人ででかけました…。

表紙とタイトルからは虫好きな男の子の楽しい話のように思えるのですが、中身は全く真逆です。羽化したばかりのか弱いオニヤンマにたった七日で無くなった妹を重ね、たけるの兄としての想いや成長を描いています。絵本という短い物語の中に、それがとても素晴らしく詰め込まれています。夏の静かな物語です。


おっきょちゃんとかっぱ

おっきょちゃんがひとりでうらの川で遊んでいると、ガータロという河童がおっきょちゃんを川の祭りへと誘います。おっきょちゃんは浴衣を着て、お土産にきゅうりを持ってお祭りへとでかけました。河童たちはきゅうりに大喜びし、おっきょちゃんを歓迎してまつりのもちをふるまいました。そのもちを一口食べるとお父さんのことを忘れ、二口食べるとお母さんのことを忘れ、三口食べると、とうとうおっきょちゃんは水の外のことは全て忘れてしまいました…。

夏と言えば怪談話や妖怪話が盛り上がってきますが、日本古来の妖怪「河童」だけはなぜか人間と親しみやすい存在ですよね。この絵本もよくよく読んでみると怪談話なのですが、河童の陽気さやおっきょちゃんの素直な性格が相まって、怪談というよりは少し幻想的な河童の物語になっています。また、物語の展開も面白いものがあり、読み聞かせにもなかなか◎です♪


ウエズレーの国

他の子とはちょっと違うウエズレー。どうも自分は周りの子とはちょっと違うんだなぁ、と自分でも感じている。だから友だちにいじめられたりもする。自分だけの隠れ家があったらなぁ、とウエズレーは思う。そうして、夏休みがいよいよ始まるという時、ウエズレーは自由研究の宿題にぴったりなものを思いついた!それは、じぶんだけの作物を育てて、自分だけの文明を作ること!ウエズレーのすごい自由研究がはじまります。

他人とは違うこと、自分と違う人間がいることに、人は時に恐れを抱いたり力でねじ伏せようとしてしまう。けれど、この絵本は違います。ウエズレーという存在を「異質なもの」として描くのではなく、ウエズレーという一人の人間として、ウエズレー自身が持つ魅力、才能としてウエズレーが人とは違うことを讃えています。それが本当にストーリーと絵からよく伝わってくるのです。違うことは良いことなんだな、と思わせてくれる素晴らしい絵本!


うみのいえのなつやすみ

夏といえば海、そして海といえば、「うみのいえ」。カレーライス、焼きそば、かき氷、フランクフルト…って食べ物ばっかりですが、この主人公のなっちゃんは、親戚のおばさんたちがうみのいえをしています。毎年夏はそのおばさんのところに行って遊ぶのが恒例。いとこのゆうくんと海で泳いだり、貝殻を集めたり、磯でカニや小魚を捕ったり、海の遊びが満載です。ところが、大事にしていた麦わら帽子をなくしてしまったなっちゃん。遊んでいた浜辺や磯を探しても、麦わら帽子が見つかりません。その内に雨も降りだして…夏の海の楽しさたっぷりですが、ストーリーもなかなか面白い絵本です。