ジャンル別読み聞かせ絵本リスト」カテゴリーアーカイブ

鬼の首引き

都に向かう若者の前に突然鬼が現れて、若者は捕まってしまいます。鬼はその若者を食べようとするのですが、「まてよ。ウチの姫さんはまだ人間を食べたことがない。お前、わしと姫さんとどっちに食べられたい?」と聞いてきます(どっちも嫌だ…)。若者は姫さんの方を選びます。しかしタダで食われるのはかなわん!と若者は鬼の姫さんに勝負を挑みます。勝負は腕相撲や足相撲。鬼の姫だからさぞかし強いのだろう…と思いきや、意外にも弱くて負けてしまう姫さん。最後は若者と他の鬼たちとの首引き勝負ですが、若者はこれまた知恵を巡らせ…

よく見ると登場人物たちの表情が面白い。若者は知恵を巡らせるだけあってなかなあ鋭い表情をしています。それに対し負ける鬼の姫さんは案外かわいい(笑)鬼は若者に騙されてしまいそうな、悪い顔してるけどちょっと間抜けそうでもある顔…。井上洋介さんは大胆なタッチの絵ですが、細かいところはすごく繊細でお話によく合っています。


鬼のうで

都で大暴れしていた酒天童子ら鬼の一味を退治した源頼光たち。しかし、一匹の鬼がこっそり逃げて、羅生門で女を100人もさらっていた。そこで、頼光の家来で最も強い、渡辺綱が退治にでかけ、見事鬼のうでを切り落としたが…

「そうれそれそれ そのむかし」「やんややんや」など、噺家のような文体が実に面白く話し手としても読みやすいのですが、それは赤羽末吉さんの文と絵が実に物語に上手く起伏をつけているからでもあります。絵は白を基調としているのですが、例えば渡辺綱が羅生門に向かうシーンでは、渡辺綱を細い筆の線で描き、ひとつめの風が吹くところでは風を少し太めの薄墨で数本、次の雨の滴りは渡辺綱と同じ線でごく控えめに、そして次の黒雲と松が出てくるところでは色を濃くして描く大きさも大きくして、最後の稲妻が光るところで渡辺綱を灰色で塗り、「いかにもこれから何か起こるぞ」という雰囲気を醸しだしています。しかし、次のページをめくると…何も起こらない。鬼は出てきません。渡辺綱の油断した気持ちを表してか、そのページに書かれている渡辺綱も線がふにゃふにゃ。しかし、そのページをめくった瞬間不意に出てくる音は実に力強い線え勢いのあるタッチ、画面をはみださんばかりの鬼の迫力。あわれ腕で握りつぶされた渡辺綱が描かれる次のページでは、あえて背景を血をイメージするかのような色。この色は代赭かな?とまぁ、実に絵が物語と連動していて、読み手も聞き手も物語にぐいぐい引き込まれるようになっています。これぞ絵本、という本です。


えんぎもん

おじいちゃんのおうちは『えんぎものやさん』。いろいろなおめでたいものを売っているお店です。今日も、最近良いことが無い人や、新しくお店を人たちが、えんぎものを探しにやってきます。そんなうちの家族もみんな、普段からえんぎかつぎをしています。ところが、家族たちに良くないことが次々起こり始めました。そこで、おじいちゃんはウチに代々伝わる秘伝の書を出してきて…

えんぎもの、みなさは飾っていますか?この本は様々なえんぎものが出ていて、ページの中でそのえんぎものの意味も小さく解説されているので、説明しながら読むと子どもたちも「へぇ〜!」と感心します。また、えんぎものだけでなく、「トイレをきれいにしておくとかわいい赤ちゃんが生まれる」などの縁起担ぎも出てきます。ただ、最後に出てくる「ひでんのしょ」は読み手の技量が問われそう。


もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう

もっちゃうもっちゃう!トイレに行きたい!というヒデくん。でも、どうも様子が変です。デパートのトイレはキリンさん専用で高すぎたり、コウモリさん専用で逆さまだったり…そうして紆余曲折を経て辿りついたトイレは…!?

これ、読んだら思わず「あぁぁ…」となる絵本です(笑)子どもの時にこういう経験した人、いるんじゃないでしょうか?土屋富士夫さんはこういう子どもの体験をすごく絵本にするのが上手い方です。大人が読んでもこれだけ共感できるのですから、子どもたちは大人以上に実感を持ってこの「あぁぁ…」を楽しめると思います。それにしても、あぁぁ…


もっとおおきな たいほうを

王様は、先祖代々つ伝わる大砲を大事にしています。そして、その大砲をうちたくてしょうがありません。ある日、王様の大好きな魚を勝手にとっていたキツネに、大砲をうちました。見事キツネを追っ払った王様。しかし、今度はキツネがもっと大きな大砲を持ってきて…

王様とキツネの大砲合戦!ですが、打ち合いではなく、「おおきさ」の戦い!相手が大きなのを持ってきたら、もっと大きなのを持ってきて、大きさ合戦はどんどんエスカレートして…「ここまで大きくなるの!?」というくらいの大きさ、絵にも迫力があります。けど、どこか和むストーリー(笑)オチもちゃんと笑わせてくれます。個人的には、王様の一挙手一投足、特に最後の失意のシーンがかわいくてしょうがありません♪


ふうせんクジラ

みなとにやってきたクジラの親子。クジラのボンは、初めて見る風船を思わずパクリ!もひとつパクリ!しかし、あんまり食べ過ぎて、なんと、空に浮かんでしまいます!ふわふわと空に浮かぶくじら…実際には有り得ない話なんですが、それをいざ絵にすると、面白いのはもちろんなのですが、空を飛んでるボンはとっても楽しそう。クジラが空を飛ぶと、飛行船に似てる気がするのは私だけでしょうか?「クジラが空を飛ぶ」という、とても夢のあるおはなしです♪


100かいだてのいえ・ちか100かいだてのいえ

これは笑える、というより歓声の上がる絵本です!「100かいだて」というたかーいたかーい家、その1階から100階まですべて描ききっている絵本。面白いのは、この2冊は両方共縦開きの絵本になっていること。しかも地上の方は上から下にめくっていくタイプ、地下の方は下から上にめっくっていくタイプ。どんどん家を昇っていく(降りていく)臨場感があります。また、見開きで10階ずつ進んでいき、10階ごとに違う動物たちがすんでいて、「次は何が住んでるのかな?」という楽しみもあります。そしてその絵も、細かいところにすごいこだわりやギミックがあるんです。読んでいてとってもワクワクする絵本!

しかもこの2冊、ビッグブックがあるんです。

ビッグブックはなんと高さ116cmの縦長絵本!こちらは左右開きで、見開きのなが~いページに10階分が大きな絵で見られます。読み聞かせはこちらでするとインパクト大!小さいほうはおひざに抱っこの読み聞かせが良いかな?

そして誕生日やクリスマスのプレゼントには、ギフトセットもあるのでプレゼントにも良いですよ〜


はなくそ

こぶたのジュールはジュリーという女の子が大好き。一方ジュリーは、いつも汚くてハエが飛んでいるようなジュールが好きじゃありません。そんなジュール、これまでずっと勇気がなかったのですが、とうとう決心してジュリーに好きだ!と言おうとしたら、なんと、ジュリーは引越しが決まってた…理由は、森に住むおそろしいオオカミから逃げるため。傷心のジュール…そんな2人を、なんとそのおそろいいオオカミが捕まえてしまいます。2人を食べようとするオオカミ。そのオオカミから逃れるためにジュールが取った行動は…

個人的に私が大好きな絵本です(この本を大好きといったら変な目で見られそうですが)。タイトルを読んだだけで、子どもたちは爆笑します(笑)一方、読んでる時は笑いと悲鳴が混ざります。え?どうして悲鳴が上がるのかって?それは読めば一発でわかりますよ。さぁ、あなたは果たして結末を楽しめるか、それとも悲鳴をあげるか…


ねえ、どれが いい?

この絵本は、「ねえ、どれがいい?」と読み手に問いかけてきます。ただし、その質問が究極の選択。例えば、へびにまかれるか、魚にのまれるか、わにに食べられるか、さいにつぶされるか、どれがいい?…どれもいやーーー!と子どもたちは叫びます(笑)そんな面白い「どれがいい?」が何度も出てきます。「あれがいい!」「どっちかって言われたら…いや、やっぱりどっちもいや!」「これはこっちがいいなぁ」「そのどれかしかないん!?」と悲喜こもごもの反応が続出して大盛り上がり。読み終わってから自分たちで「どれがいい?」を考えてくる子も出るくらい、子どもの心を引きつけてやまない名作です♪


デカデカ

ぼくはデカデカ。みんなより大きい。否、大きいなんてレベルじゃない、でかい!この本の何が面白いって、そのでっかさを余す所無く、インパクト大で表現している絵。このデカデカがプールに入ったら…タクシーに乗ったら…。面白いのは、ただただでっかくするだけじゃなくて、ひとつひとつのシーンにオチがあること。でっかさが伝わるだけじゃなく、思わずぷっと吹き出してしまいます。けどね…おっと、オチは読んでのお楽しみ!