新米学校司書さんが注意すべきこと その3 とりあえずすべき目の前の仕事

【新米学校司書さんが注意すべきこと 記事一覧】
その1 4月1日までに知っておいた方が良いこと
その2 学校組織と学校図書館について
その4 学校司書の基本的な仕事
その5 学校司書の立場
その6(最終回) 教職員・ボランティアさん・他校の学校司書さん・公共図書館との連携
新米学校司書さんに送るツイートまとめ
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初めて学校司書になると一番悩むのは

「何をすれば良いの?」

ということだと思います。
あと1週間後くらいには新学期が始まる、
それまでにどんな準備をしておかなければならないのか…
本来なら前任者から引き継ぎがあったり、
新任学校司書に対する研修があるべきなのですが、
前任者が引き継ぎ資料をちゃんと残していなかったり、
雇用条件の厳しい学校司書に研修はなかったりします。
以下はさしあたって確認してすべきことです。

(1)貸出・返却方法の確認
(2)学年の更新がされているかどうか
(3)新入生の利用者登録
(4)図書館の利用規則
(5)オリエンテーションの内容
(6)「図書の時間」の有無(小学校)
(7)年間計画の確認・職員会議での提案

(1)貸出・返却方法の確認
もっとわかりやすく言うと
「パソコンが図書館にあって図書館システムが入っているかどうか」です。
図書館システムがあってパソコンでピッピッと
貸出・返却ができるようであれば、
その図書館システムのマニュアルを探しましょう。
前任者が新設ならばカウンターに置いてくれているはず、
なければカウンター周辺や司書室を探してみましょう。
もし図書館システムが入っていなければ、
どんな貸出方式かを確認する必要があります。
これも引き継ぎ資料があれば良いのですが、
無ければ昨年度からいる先生などに
「どんなやり方で本の貸し借りをしていましたか?」と
聞いてみましょう。
ハンコで返却日を押してカードを入れ替える方式か、
代本板を使う方式か、手書き方式か…
これを確認しておかないとあとの作業もままなりません。

(2)学年の更新がされているかどうか
「学年の更新」というのは、
新学期になってひとつ学年が上がるのに合わせて、
図書館システムの利用者情報が新しい学年に更新されているかどうか、ということです。
例えば去年小学校5年生だった学年の児童は、
6年生になっていないといけません。
その更新をシステム上で前任者が既にしていてくれたら良いのですが、
されていない場合もあります。
マニュアルを読んでみたり他校の司書さんに聞いてみて、
更新がどうなっているのか確認してみましょう。
また、システムによっては同じ市町村内全校で
一斉に更新する場合もありますので、
そのあたりも教育委員会の担当者の人や他校の司書さんに確認してみましょう。

なお、図書館システムが入っていない場合は、
例えばカード入れ替え方式だと新しく利用者カードを作る必要があったりします。
これは毎年の仕事なので昨年度からいた先生に聞けば
わかるかと思います(本当は引き継ぎ資料があるべきなのですが)。
カウンター周辺から新しいカードを探したり、
新しいカードをどうやって作っていたか
(学校司書が作っていたのか、担任の先生にお任せしていたのか)など
このあたりも確認しましょう。
なお、中学校などでは新しくカードを作らず、
学年が上がっても引き続き同じカードを使うケースもあるようです。

(3)新入生の利用者登録
これは図書館システムの有無に関わらず必要な作業です。
新入生をシステム上で登録したり、
アナログなカード入れ替え方式でも新しいカードを作る必要があります。
なお、図書館システムが入っている場合は
Excelなどで新入生一覧のファイルを作成して、
そのファイルを利用して一括で登録できる機能があることが多いです。
そのあたりもマニュアルを読んだり他校の司書さんに聞いて
確認しましょう。

(4)図書館の利用規則
(5)オリエンテーションの内容
貸出冊数は何冊か、予約は何冊か(そもそも予約をしているのか)、
開館日や開館時間、館内の本の配置=配架、
返却された本を児童・生徒が自分で返すのか、などなど、
図書館の利用規則を確認する必要があります。
また、それを確認しておかないと
オリエンテーションのしようがありません。
これも引き継ぎ資料があれば良いのですが、
なければ図書館担当の先生や昨年度からいる先生に確認しましょう。

特にオリエンテーションは新米司書さんにとっては
まず最初に当たる壁だと思います。
校種によっても、学年によっても教える内容が異なり、
いきなり上手くオリエンテーションを行うのはかなりの難易度です。
最低限必要なのは、

・図書館の利用マナー
・貸出冊数・貸出期間
・予約冊数・予約取り置き期間
・図書館の本の配置について
・図書館の本の配置と分類について(小学校3〜4年生以上?)

こういったことかと思います。
もしかしたら前任の方がオリエンテーション資料を
残してくださっているかもしれないので、
カウンター周辺やPCのファイルを探してみましょう。

(6)「図書の時間」の有無(小学校)
これは小学校に赴任する学校司書さんの話です。
学校司書がいる学校では「図書の時間」が行われている学校が多いです。
各クラスが週に1回図書館に来て授業をします。
絵本の読み聞かせをしたり、上述のオリエンテーションをしたり、
授業に関連してブックトークをしたり、調べ学習をしたり…
この時間に本の貸出・返却をすることも多いです。
また学年によっては隔週で行うクラスもあります。
どのように図書の時間が行われていたか、
前任者の引き継ぎ資料や図書館担当の先生、
昨年度からいる先生に確認してみましょう。

(7)年間活動計画の確認・職員会議での提案
学校ではどの部会も年間活動計画を作成し、それを元に活動をします。
学校図書館も普通なら年間活動計画を作成しているはずです。
新米学校司書さんが一から作成するのは難しいので、
とりえあず昨年度のものを確認し、
内容に問題が無ければ(いれば)図書館担当の先生と内容を一緒に確認し、
学校図書館に関する部会があればその部会でも確認し、
最後に職員会議にかけて学校全体で内容を確認してもらいましょう。
なお、このあたりの仕事は学校司書がしなければならないわけではないので、
図書館担当の先生がいればその先生にお任せでかまいません。
また、もし年間計画が無ければ(これまでもずっと無かったのであれば)、
今年度は作成を見送り、今年度の活動を見据えて
来年度きちんと作成する、という方法もあります。
いずれにせよ、学校司書に初めてなっていきなり
年間計画を作成するのはかなりハードルが高いので、
無理せず既存の状況で対応しましょう。


新米学校司書さんが注意すべきこと その3 とりあえずすべき目の前の仕事」への7件のフィードバック

  1. barbamama

    ほんともさん、タイムリーな情報提供、ほんとにありがとうございます。(T ^ T)
    おたすけサイトのお名前の通りです。
    今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m

    返信
    1. hontomo 投稿作成者

      >>barbamamaさん
      自分自身初めて学校司書になった時の苦労を思い出しつつ記事を書いています。
      みなさんと一助となれば幸いです。
      今後ともよろしくお願いします!

      返信
  2. kimico

    ほんともさん ありがとうございます!

    ジプシーのようにあちこちの小・中・高校で学校司書をさせていただいておりましたが
    今回、初めて4月1日から小学校に働きに行きます。
    初めての自治体で土地勘もなく、委嘱式ってのも初めて。
    勤務校を知らされたら、即、検索しないと・・・
    知り合いのひとりもいないところでのスタートに、とてもこころ丈夫になれました。

    これからも、どうぞ、よろしくお願いいたします。 

    返信
    1. hontomo 投稿作成者

      >>kimicoさん
      ジプシー…雇用の不安定な学校司書は確かに転々と学校が変わる人も多いかと思います。
      自治体・学校によって本当に学校図書館の扱いも様々で、
      行ってみないとわからないことが多々あるかと思います。
      どうぞ無理なさらず、できる範囲で頑張ってください!

      返信
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