うれしいことがあるたびに、じいじがこっそりうえたさくらは、今はそらにまで届きそうなほど大きくなった。じいじはさくらの山で色んな遊びを教えてくれた。「じいじはすごいなぁ」というと、いつもじいじは「なんもなんも」という。そんなじいじが、ある冬の雪の日に病気になった…。
夏の鮮やかな緑の山から、真っ白で寒々しくて、けれど美しい冬。その雪が解け、蕾が芽吹き、やがて桜が満開となる春。その季節の移ろいと、「じいじ」の生と死という命の移ろい。季節が繰り返しめぐるように、ラストの麦わら帽子姿の男の子の背中もまた、孫と子の命のつながりを感じさせる。う~ん、なんとも言葉にしがたい深い絵本です…