某氏が学校で「先生って暇そうだよね〜」と言われた、
という日記を書いていらっしゃった。
そういえば、こないだ某大学で授業をした時に事前質問で
「学校司書の仕事にはどんなものがあるのですか?」と聞かれたので
具体的にどんな仕事があるか紹介したのだけれど、
その授業後の感想でも
「学校司書は暇そうなイメージでしたけどすごく忙しいことがわかった」
と書かれた学生さんがいらっしゃいました。
何故こんなイメージを持たれやすいのか?
たぶん、学校図書館の場合(というか他の館種もそうかもしれないけれど)、
生徒と接する機会は圧倒的にカウンター及び開架フロアが多く、
そこでの生徒とのやり取りは貸出・返却、または本探し、
「オススメの本無い〜?」という質問への対応、
それかレファレンス(図書館用語でとあるテーマや課題に関する本探し)
などが圧倒的に多くて、
これら「だけ」しか学校司書の仕事として認識されず、
結果として「暇そう」というイメージになってしまうのかなぁ、と思ったり。
どんな仕事でもバックヤードの仕事というものはあるのになぁ。
しかし「暇そう」と思われるのはやはり心外なので、
前述の某大学の授業で話した「学校司書の仕事」という部分を抜粋して、
簡単に学校司書の仕事を列挙してみる。
(1)休憩時間の開館
「いや、それは知ってるよ」と思う事なかれ。
「休憩時間の開館」というのは学校司書にとっては
当然しなければならない仕事ではあるけれど、
実はこれが結構な悩み(特に小学校司書)なのである。
というのも、休憩時間というのは本来なら
「先生にとっても」休憩時間、なのである。
普通の先生たちはこの時間にちょっと職員室戻って
次の授業の準備したり、トイレ行ったりするのである。
が、学校司書は開館があるのでそれができない。
特に小学校の場合、「図書の時間」(後述)があるので
授業して、休憩になって開館して、休憩終わったらまた授業が入っていて、
あれ?トイレいつ行ったら良いの?という問題が生じる。
休憩時間の開館も侮ってはいけない。
(2)貸出・返却・予約の対応
これもまぁ当たり前の仕事ではあるが、
これらの仕事は「カウンターに縛られる」仕事である。
他にたくさん仕事があっても、
休憩時間や図書の時間これらの対応している間はカウンターから離れられない
(図書委員の当番がいたって目を離すわけにはいかない)。
予約についてはコンピュータ処理の必要もあり、
一日何十件と予約がきたらそれだけでも結構な仕事量である
(これが旧式でカード貸出だったりするともっと恐ろしいことになる)。
(2)図書の時間
これは小学校限定だけれど、小学校では「図書の時間」というものがある。
頻度は様々だけれど(ウチは1・2年が毎週、3〜6年が隔週)、
図書館に来て読み聞かせやブックトークをしたり、
場合によってはオリエンテーション(利用指導)や
調べ学習の事前指導(百科事典の引き方とか)をしたりもする。
当然、この図書の時間の「授業準備」も仕事に含まれる。
この準備がかなりの仕事量になる。
読み聞かせやブックトークについては毎週10〜20冊くらい(もっと多い時もある)
本を探して準備して(学校にある本を読むこともあるが
大抵市立図書館から借りたりする、市立図書館から本を配達してくれるところもあるが
たいていは市立図書館に借りに行く必要がありそれも仕事の内、
平日行けなくて週末休みに行ったりすることも多い)、
そしてそれらを読んで「これだ!」という本を決めて
読んだり紹介したりするのである。
小学校司書は毎週これに追われ続ける仕事である。
おまけに「1回読んだ本は次の年使えない」ので、
毎年毎月毎週本探しに追われ続けるのである。
利用指導や調べ学習に関連した事前指導の方がまだ楽に感じる。
また、当然図書の時間をしている間はほとんど他の仕事ができない。
クラス数が多い学校などは、図書の時間が山ほど入っていて
他の仕事をする時間が取れない、なんてところもある。
(3)選書、発注、受入作業
「選書」とは図書館に入れる本選びである。
予算は学校によってマチマチなので一概にどれくらいの仕事量、
ということは示せないけれど、子どもの読書傾向や
授業の利用などを鑑みて数多ある本の中から
「これは!」というものを探しだして選ぶ、
これまた毎年毎年悩ましい仕事である。
学校によっては買う時期が決まっていてそれまでに
発注しないといけなかったり、
突然50万とか100万とかいう図書費が降って湧いてきて
「再来週までに買う本リストアップしてね」という
無茶な締め切りがあったりもする。鬼か。
発注は事務を通したり学校司書が直接書店にしたりするが、
発注書の作成という作業も当然しないといけない。
そして本が届いたら受入作業である。
納入書の値段が間違っていないかチェックし、
装備をし(ブッカーをしないといけないところもある!)、
登録作業(PCのところもあれば紙のところもある)もする。
ちょ、まだ3項目目なのに文字数が2千近くなってるぞ。
(4)図書だよりの作成
図書だよりは毎月1回のところが多いだろうけれど、
学校司書によっては月に何度も発行する人もいるし、
職位向け図書だよりを発行している学校も多い。
図書だよりは児童への情報発信はもちろんのこと、
普段学校司書は接する機会の少ない「保護者」が
目を通す可能性が高いので、保護者へのアピールの機会でもある。
これも気の抜けない仕事である。
(5)図書委員会の支援
基本的に委員会の指導は先生の職務だが、
図書委員たちの支援は学校司書もする必要がある。
カウンター当番などの仕事は学校司書が教えたり
見守ったりしないといけないし、
何かイベントごとをする場合でも当番の時にしたり
委員会の時間にしたりする際はやはり
学校図書館に関わる者として放っておくわけにはいかない。
そしてあってはならないことだけれど、
支援というより指導そのものを全て学校司書がしているところもある。
(6)調べ学習の資料準備、授業づくり、授業の指導
調べ学習をする、と先生たちから言われたら、
これまでは「じゃあそのテーマの本を用意しときますね」と
学校図書館の本を抜いておいたり
市立図書館からごそっと借りてきたり、
というのがこれまでの調べ学習のスタイルだったけれど
最近はこのスタイルも変わってきていて、
学校司書が積極的に授業づくりの段階から関わって
先生たちと一緒に授業の内容を話し合ったり、
それに合わせて資料を選定して準備したり、
授業に入って児童の支援をしたり場合によっては
学校司書という立場として説明すべきところを説明したり、
というスタイルに変わりつつあるように思う。
これはこれでなかなか大変な仕事量になるが、
しかし学校司書がやり甲斐を感じるところでもある。
(7)会議や研修への参加
会議に出席することも当然仕事の内である。
有名なのは「職員会議」だけれど、学校内では
これ以外にも様々な会議がある。
職位朝礼、放課後の連絡会などがある学校もあるし、
「部会」といって学校内の職務によって先生たちをグループ分けして
(生徒指導部会や授業研究部会など、学校図書館部会もあったりする)、
その部会で会議が開かれたりもする(月に1回のところが多いかな?)
だが、これらの会議に学校司書が「参加できる」なら良いけれど、
学校司書の雇用条件によっては会議が雇用時間外にあって
参加できないところもある。
「会議に出なくて良いから楽」と思うかもしれないけれど、
会議というのは学校内の情報共有や取り決めを話し合うので、
会議に参加できないと学校司書はそういった情報から取り残されてしまう。
研修も同じで、学校司書対象の研修が開かれているなんていうのは
かなり良い方で、実際には研修が開かれていない、
外部の研修への参加も保障されていない、などの雇用条件のところも多い。
というわけで、こんな風な話をしました。
ざっと大急ぎでリストアップしてみましたが、
さて、いかがでしょう?(書き忘れあるかも)
学校司書は忙しい?忙しくない?