投稿者「hontomo」のアーカイブ

hontomo について

大阪府で小学校図書館司書をしています。学校司書歴7年目。1年目は右も左も分からず、2年目は読み聞かせに力を入れこの頃から個人的に読み聞かせのデータベースを作成をし始めました。3年目から勤めていた小学校・中学校の学校図書館改善に取り組み、サイト「ほんとも!〜学校図書館おたすけサイト〜」を立ち上げ。4年目以降は調べ学習に力を入れ始めました。その後異動し、現在の学校では1年生〜6年生を見通した調べ学習のカリキュラム・授業作りを研究中です。

ブッカーのかけ方

この夏、寄贈本を80冊ほど受け入れました。
寄贈本と言えば装備。
請求記号シールをつけ、バーコードシールを付け、
ブッカーと呼ばれる透明のカバーをつけ、
そして最後に図書館の本の印である蔵書印(図書館名の入った判子)と
寄贈印を押すまでの一連の作業を図書館では
「装備」と呼びます。

実は、この装備作業の中のブッカーかけが苦手だったのですが、
さすがに80冊もの寄贈本を装備して
少しそのブッカーの腕前もマシになってきたようなので、
動画をアップしてみました。

この動画を他の司書さんに見せたところ、
「やり方が自分と全然違う!」と言われました。
自分はまずブッカーを本のサイズに切り、
それから片方の見返しを折り込んでかける方法なのですが、
他には

「ブッカーの真中部分の台紙だけを切って、背から貼り付ける」

という方法もあるそうです。
また、四角は自分はあらかじめ切っておくのですが、
ブッカーかけちゃってから切るというパターンも。
皆さんはどんなかけ方をしていますか?


2013年 学校図書館問題研究会 第29回全国大会 島根大会に参加しました

2013年 学校図書館問題研究会 第29回全国大会 島根大会に参加しました。
正確にはまた大会は開催中で、会場ホテルのロビーで
この記事を更新しているので、現在進行形で参加しています。

初日は13時から開会行事・総会から始まり、
14時から現島根県知事の溝口善兵衛知事と
慶応義塾大学法学部教授の片山善博氏
(元鳥取県知事・総務大臣)の対談、
その後夕食を挟んでテーマごとに分かれて
勉強会などを行うナイター。

二日目は午前中は松江市立揖屋小学校と
埼玉県立新座高校の実践報告。
昼食挟んで午後はテーマごとの分科会に別れて
ワークショップなどが開かれました。
夕食は全参加者が集まって交流会が開かれ、
そのあとさらに各都道府県支部の企画発表タイム。

そして三日目は都合により欠席しますが、
学図研の全体会・総会が開かれます。

…という風に、ご覧の通り三日間学校図書館漬けです。
食事時間と寝る時間以外はほぼ学校図書館に関わる
ワークショップや講演などが行われます。
また、ナイター・分科会は明日にでもすぐ使えそう、
できそうな実践的な内容のものが多く、
学校図書館関係者にとってはとても勉強になる大会です。
詳しくはTwitterのハッシュタグ #学図研2013や、
大会終了後発行される学図研の1年間の活動内容や
全国大会の内容をまとめた冊子「がくと」、
バックナンバーも販売されています)、
毎月学図研のから発行されている「学図研ニュース
などをご参考いただければその内容や雰囲気が
伝わるかと思います。

また、この大会は日本全国各地から学校図書館関係者が集結します。
小学校・中学校・高校など様々な校種の学校司書さんが参加されますし、
それだけでなく司書教諭の方々や公共図書館の司書さん、
大学で学校図書館を研究されている先生方も参加されます。
そういった方々と分科会やナイターや交流会だけでなく、
食事の時間や各客室などで(夜な夜な)色々な話をできるのも
この大会の大変ありがたいところのように思います。
学校図書館で働いていると雇用条件などの関係で
なかなか横の繋がりを広げるのが難しいので、
この大会は他の学校図書館関係者と交流できる貴重な場でもあります。
学校図書館関係者、特に学校司書のみなさんは
雇用条件などを考えるとなかなか参加し難いでしょうが、
お近くで大会が開かれた際にはぜひ参加して、
学校司書としての専門性を高めつつ
様々な方々と交流を深められることをお勧めします
(というのは終わってからじゃなくて大会の募集が始まった時点で書くべきでした…反省)。

今回、Twitterやサイトをご覧いただいている
たくさんの方々と直接お会いすることができ、
またそれ以外にも色んな方とお話することができ、
勉強になるとともに良い刺激を受けました。
また、初日夜に行った学図研ミッドナイト
なんと62名もの方にご覧いただき、
会場に参加していない方々とも交流できるとともに
質問を通して自分の仕事を振り返ることができました
(学図研ミッドナイトの録画放送はこちら)。
お声をかけていただいた皆様、ありがとうございました!
もうちょっとサイトの更新頻度が上がるよう努力します…

来年、2014年の学図研全国大会開催地は熊本県。
皆様、来年また熊本でお会いしましょう!


「紙資料修復ワークショップ」に参加しました

エル・ライブラリー主催・工房レストアさんによる
「紙資料修復ワークショップ」に参加しました。
エル・ライブラリーとは大阪にある大阪産業労働資料館(サイトはこちら)。
労働組合や企業・市民団体などの貴重な歴史資料を収集・保存している資料館です。
このエル・ライブラリーで保存されている資料を
工房レストアさん(サイトはこちら)が修復されており、
その御縁でこの「紙資料修復ワークショップ」が開催される運びになったとのこと。
学校図書館では毎日資料の修理に追われているので、
これも良い経験になるのでは…と参加させていただきました。

このワークショップで体験させていただいたのは
「漉きはめ」と「裏打ち」と「和綴じ」。

「漉きはめ」と「裏打ち」は1枚ものの資料の破れや虫食いを修復する方法。
「漉きはめ」は紙漉きのように資料の穴に紙の原料液を漉いて修復する方法です。
一方、「裏打ち」は資料の裏に紙を1枚貼り付けて修復する方法。
「和綴じ」は学校図書館でもよく行う、本の背を糸で止める修復方法です。
「漉きはめ」については工房レストアさんのサイトに説明があるので、
そちらをご覧いただければわかりやすいかと思います。

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「漉きはめ」で使用する紙原料液の原材料。
上から「楮」「雁皮」と「楮」を漂白したもの。
修復する資料によって使い分けるそうです。
また、液に使う水は水道水を業務用のろ過器を使ってろ過しています。
水道水の塩素などの成分が資料を劣化させてしまうからです。

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「漉きはめ」に使う紙原料液。
紙漉きで使う原料液よりも薄く作られています。

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これは「裏打ち」で使う、修復資料の裏に貼り付ける和紙。

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この糊を使って貼り付けます。

「漉きはめ」も「裏打ち」もまずは「レーヨン紙」というものに
修復資料を水で固定する作業を行います。
文章で書いてもなかなかわかりづらいので、動画でご覧ください。

この作業のあと、「漉きはめ」はさらにレーヨン紙を1枚重ねて、
レーヨン紙で修復資料をサンドイッチします。
「裏打ち」は修復資料の上にさきほどの写真の和紙を貼り付けます。

「漉きはめ」の作業は動画を撮っているのでご覧ください。

レーヨン紙でサンドイッチするのは、修復資料を濡らして
刷毛で皺や折り目を伸ばすためです。
レーヨン紙はかなり頑丈で、多少のことでは破れず
修復資料を刷毛から保護します。

皺や折り目を伸ばしたらレーヨン紙を1枚剥がします。
これで、レーヨン紙の上に修復資料が載った状態に。
これを手で持って巻き簾の上に布を載せたものに載せます。
この時、今度は巻き簾の布に修復資料が載るように、裏返して載せます。
再度刷毛でレーヨン紙の上から皺を伸ばしたら、
レーヨン紙を剥がして、これで「漉きはめ」の準備完了。

「漉きはめ」の作業です。
紙漉きのように修復資料に紙原料液をかけて、
穴を原料液で埋めていきます。
余分な原料液はバキュームで下から吸い取ります。
さらに別の機械で水分を吸い取ったあと、
乾燥台に乗せて乾燥させます。
通常なら一晩自然乾燥させるのですが、
この日は修復した資料を持ち帰らせてくださるために、
機械で乾燥してくださいました。

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「漉きはめ」で修復した資料。
遠目に見るとどこを修復したのか一見わかりません。

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近づいて見ると、虫食いのあとにうっすら新たに紙が埋まっています。

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こちらは「裏打ち」で修復した資料。
「漉きはめ」と見た目では違いがわかりませんが、
触ると「裏打ち」の方が分厚くなっているのがわかります。

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和綴じ体験もさせていただきました。
「漉きはめ」も「裏打ち」もそうでしたが、
工房レストアの社員さんお二人の説明がすごくわかりやすく、
どれも上手く修復することができました。
このワークショップ、小学生の体験学習でしていただいたら
子どもたちは楽しんでしそうだなぁ、と感じました。
大人がやってもかなり楽しかったです
(個人的にこういう作業が好きというのもありますが)。

今回このように修復作業を体験させていただいたことは
もちろんとても良い経験になったのですが、
工房レストアさんの資料修復への想いを
聞かせていただいたのが何より貴重な経験となりました。
文化財などの貴重な資料に限らず、
市井の人々の「個人的に想いのある資料」も
「貴重な資料」として別け隔てなく修復する、
「紙文化資料の町医者」としての仕事への矜持が何より心に残りました。
ウチにある個人的に大変思い入れのある
B’zの「The 7th Blues」の新聞広告も
工房レストアさんで修復していただこうと思います。

ワークショップが終わったあとは、
工房レストアさんならびにエル・ライブラリーのお二人と
参加者の皆様とで懇親会が開かれました。

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大正区といえば沖縄料理!
大阪でこんなに美味しい沖縄料理が食べられて良いのだろうか…
というくらいどの料理もとても美味しかったです。
また、懇親会では工房レストアさん、
そしてエル・ライブラリーの谷合館長の熱いお話も聞かせていただき、
大変勉強になりました。
「千年後を考えて仕事をする」という谷合館長のお言葉は
学校図書館に勤務している身としてはなかなか思い至らないところで、
自分も千年ごとは言わずとも、子どもたちの未来を考えて
日々大切に仕事をせねば…と自分の身を振り返りました。

ワークショップ・懇親会ともにとても濃密な半日を過ごすことができました。
ワークショップを主催してくださったエル・ライブラリーの皆様と
お休みにワークショップで貴重な体験をさせてくださった
工房レストアの皆様、ありがとうございました!


学図研ミッドナイト!

学校図書館問題研究会・2013年度第29回全国大会(8月4日~6日)にて、
初日のナイター終了後に
「学図研ミッドナイト!」と題してUstreamによる生放送を行います!

<中継アドレス>
http://t.co/na86QHgqtr

<イベント名>
学図研ミッドナイト!

<イベント概要>
Twitterを賑わす学校図書館関係者5人(予定)が学図研ナイター終了後、
旅館の一室に集まって盃を交わしつつする学校図書館のよもやま話をUstreamで生放送!
(※学図研全国大会公式イベントではありません)

<イベント内容>
出演者の皆さんの日頃の実践や研究の紹介はもちろんのこと、
出演者が参加した学図研ナイターの簡単な報告、
そしてプレゼント企画連動の質問コーナーも行います!

<質問コーナー&プレゼント企画詳細>
出演者の方々への質問をTwitterにて募集します!
つぶやきに

 #学図研ミッドナイト 
前後に半角スペースをつけてください)

をつけてつぶやいてください!
つぶやいてくださった方の中から
抽選で2名様に学図研会場で販売されているグッズをプレゼント!
締切は2013年8月3日午前9時です!
なお、時間の都合上、質問がたくさんあった場合
すべての質問にはお答えできないと思いますので、
その場合はその場のノリで質問を選んでお答えします。

<実施時間>
2013年8月4日(日)学図研初日のナイター終了後
22:00〜23:00ごろを予定

<配信方法>
Ustreamにて生中継で配信します(アーカイブは未定)。
中継は固定カメラで、出演者の顔は映りません。
また、現地の電波状況により、音声配信のみとなる場合もあります。

<出演者>
yansenmu @yansenmu さん

和歌山大学で「大学図書館の司書教諭」をされている先生。
「あれ?司書教諭って大学にもいるの?」と思われるかもしれませんが、
果たしてどういったことをされているのかは、当日ご本人から語っていただきます!

librarius_I @librarius_I さん

言わずと知れた図書館情報学研究者であり、
大学で図書館教育の教鞭を取られている先生。
専門は学校図書館史であり、CiNiiでもいくつかの論文を拝読することができます。

tsubasac @tsubasac さん

公立高校にて学校司書をされているつばささん。
図書委員会活動での読書会や、授業支援、
様々な学校活動に合わせた本の展示など、
幅広い学校図書館活動を日頃から行われており、
ブログ「図書館日誌」やTwitterで情報発信されています。

hashio_m @hashio_m さん

皆さんご存知、嵐を呼ぶ公立高校図書館司書のはしおさん!
先日図書館を見学させていただきその模様をTwitterでつぶやきましたが、
細かいところまで気遣いの行き届いた魅力的な図書館づくりをされています!
また、図問研全国大会の実行委員として鹿児島県図書館マップを作成されたりと、
最近はWebコンテンツ作成にも手を広げられています。

hontomo @typhoon516

このサイトの管理人。通称「ほんとも」。公立の小学校図書館で学校司書をしています。当日は司会進行をします。

<現在寄せられている質問>
・司書の司書教諭への片思い、司書教諭の司書への片思い、解消の手立てはないのでしょうか?
・皆さんが学校図書館で(の)仕事をする上で大事にしていることは何ですか?
・夢はありますか?(仕事,プライベートどちらでも結構です)
・どうして学校図書館という場所を自分のフィールドにしようと思ったのか,というきっかけ話もなかなか改まって聞く機会がないので伺ってみたいですね。
・学校図書館に地域の公共図書館からの支援があるとしたら、学校図書館のみなさんはどんなことを望んでいるかが知りたいです。質問がずれていたらごめんなさい。
・中高生へのB・Tはしたことありますか?それは①先生からの依頼②自分の提案③その他。B・Tの時間は?①~③それぞれの場合でお答えください。
・書店からのサービスで、学校図書館さんに対する面白いサービスはありましたか? 逆に「装備がへた!」など、サービスが悪かった話でもいいです!
・すべての教員養成の現場に「学校図書館活用」単元が導入されるようになるには、どんな動きが効果的なのでしょうか?ずーっと前からマイクエッションです。
・学校司書の仕事内容と、その意味を、教育委員会の方たちに分かりやすく説明するには、どうしたらいいでしょうか。
 (フルタイムで週5日働くほど仕事があるのか、と聞かれた…) というか私自身、何をどうしたら「学校教育に寄与する」ことになるのか悩みます。
・校内で関心の薄かった教員を味方につけた経験のあるかた、どうやって味方につけたのか教えて欲しいです。ただし、飲み会参加以外で。
・不読者へのアプローチの仕方や先生方への対応の持ちかけ方
・学校図書館に対する先生方の認識状況、活用状況など
・公共図書館と連携した場合、民間委託有り無しの違いはあるのか?
・相互貸借の有無(学校間、公共)とその方法
・学校図書館周辺の研究者の対外的な活動を知りたいです。この場合の「外」とは例えば学校司書や研究者同士の集まりではなく、
 ある種の権限を持っている人、また事情通でない人たちを指します。そういう場から声がかかることはありますか


クリスマスのきせき

冬の国からきたペンギンたちは、しちめんちょうに雪景色をプレゼントしようと大量の雪を運んでいます。しかし、崖から落っことしてしまい、しかたなく板に積み上げて運びますが、運んでいる内に…

文章が少なく、絵でストーリーを見せている絵本。その絵が大きくて見やすく、そして起こっていることがわかりやすい構図なので、見ていると「あぁぁぁ(笑)」と思わず微笑んでしまいます。「いったいどうなっていくんだろう」という期待感が絵を見ている内に膨らんでいって、そして衝撃のラスト!クリスマスにウケること間違いなしな絵本です。


卒業研究振り返り(2)「テーマを決める」

卒業研究のスタートはまず「テーマを決める」ことから始めました。
「テーマを決める」は1時間で完結で、手順は下記の通り。

  1. テーマは自由、全く制限無し。
  2. テキストとワークシートがセットになった「調べ方の道案内」で卒業研究の趣旨を説明
  3. ワークシートに自分の興味のあることをひたすら単語で書く
  4. 書いた単語からひとつ、卒業研究のテーマを決める

 
まず、テキストとワークシートがセットになった
「調べ方の道案内 テーマを決める」で
卒業研究の趣旨を説明した後、ワークシートに
自分の興味のある単語や絵を自由に書いていく作業をしました。
単語のジャンルには全く制限は無し、自由です。
なお、参考資料として

・「図書館の分類から考えるヒントを見つけよう」
・「テーマ決定の参考になる 2011年1月〜12月の出来事一覧」

の二つを作成して配布しました。
「図書館の分類から〜」はウチのサイトにも置いている
小学校図書館十進分類表」を元に、
特に子どもたちが興味を持ちそう・調べられそうな分類を一覧にしたものです。
「テーマ決定の参考になる〜」はタイトル通り、
2011年に起こった時事的な出来事を月別で日本と世界に分けて一覧にしたものです。
これらをあらかじめ作成しておいた理由は、
「もしかしたらあまり自分が興味のあることを書けない子がいるかもしれない…」
と言う不安があったからです。
そういった子たちのため、考える材料として配布しました。
また、自分の興味のあることを考える際には、
自由に移動して友達と「私ってどんなことに興味ある?」と話し合っても良い、としました。
「案外自分より他人の方が(客観的に見てくれるので)自分自身をよく知っていることもある」
という観点からこのように行いました。

さて、実際に子どもたちがワークシートを書いている様子を見ると、
個性豊かにどんどん自分の興味のあることを書いている子もいれば、
配布した参考資料から興味のあることをどんどん
ピックアップして写し取っている子もいました。
時事的なテーマを書く児童はあまりいなかったように思います。
また、習い事関連のことを書いている子も多く見受けられました。
しかし、一方で興味のあることをほとんど書けない子や、
他の子の書いていることを参考にして書いており
「自分の興味」に基づいて書けない様子の子もいました。
そういった子には「自分の毎日の生活を思い出してみたら?」とか、
「去年勉強したことや体験したことで心に残ってることはない?」など、
適宜アドバイスをしました。

ここで「自分の興味」に基づいて書きだしておかないと、
後々「テーマの基本を調べる」「問いを作る」作業で大変苦労します。
この「自分の興味のあること」から最終的にひとつテーマを決めるのでうsが
自分が「本当に興味のある」ものからテーマを決めていないと、
後が続かないのです。
興味のあるテーマならばある程度基礎知識があったり、
想像が膨らみやすかったりして、
「テーマの基本を調べる」作業で関連するキーワードをピックアップしやすく、
問いを作る作業も発想が膨らみやすいのですが、
興味のあまりないテーマではそれらが難しく、
また取り組むモチベーションも保てないように思います。

それにしても、「興味のあること」を書くのが難しいのは何故か?

まず考えられるのは、そういった練習を今までしてこなかったこと。
この学年は今まで調べ学習を計画的に指導してこなかったので、
もし低学年のころから自分で考えてテーマを決める練習を
繰り返し積み重ねていれば、違う結果になったかもしれません。

また、最初に卒業研究の完成品(冊子体で作成したもの)を見せて
卒業研究全体の流れを見せておけば、
「これからこういう作業をするんだな」というのが形としてわかり、
それに合わせて何か良いテーマを考え出すことができたかもしれません。
ただ、最初に完成物を見せるとそれに囚われてしまい、
発想力を発揮しなくなってしまうこともあるかもしれず、
完成品を見せるのが良いかどうか判断に迷うところです。

そして、「好奇心の摩耗・広い知識と経験の不足」ということも
原因のひとつとして挙げられるかもしれません。
小さい頃からスポーツを楽しんだり、博物館や美術館に行ったり、
芸術的な体験をしたり、豊かな読書体験を積み重ねたりしていれば、
好奇心が育ち様々な知識と経験が積み重なり、
今回の「自由に考えて決める」という場面でフリーズせずに
積極的に発想するように思います。

この学年を低学年の頃から見ていたわけではないので
上記のような原因が当てはまるかどうかは結局のところ「よくわからない」
というのが正直な所なのですが、
しかし少なくとも上記のような学習・経験を積み重ねることは、
探究型学習を行なう際に様々な場面で必要になってくる
「発想力」あるいは「思考の瞬発力」を鍛えのるに良いように思います。

以上のような「自分が興味のあること」のピックアップ作業をした上で、
最終的にそのピックアップしたものの中からひとつを
卒業研究のテーマとして選びました。
ここまでの作業をやって、最後にこれら「調べ方の道案内」含め
配布した資料やワークシートはちゃんと保管して取っておくこと
(最後のほうで振り返りたくなるから)、
加えて「情報メモ」を配布して本などを参考にした場合は
ちゃんとメモしておかないと後悔することになる、
という説明を最後の5分ほどでして、
ちょうどほぼ1限(45分)で終了でした。

さて、最後の子どもたちが選んだテーマの一覧です。
と言っても全てを公開することはできないので、
特に「3人以上テーマが重複した」ものを上位から挙げていきます。

・野球
・お菓子
・宇宙(星座含む)
・サッカー
・音楽
・絵画
・地震
・ファッション
・世界遺産
・バスケット

「ファッション」「絵画」「世界遺産」が重複したのは意外でした。
この3つは上記の「図書館の分類から〜」にも「出来事一覧」にも載せていません。
スポーツは男子に、お菓子は女子に人気がありました。
お菓子を選んだ男子はひとりもいなかったはず。
また、「音楽」もそうですが習い事の影響もテーマ選びに大きな影響を与えています。
「地震」が多かったのは、やはり東日本大震災が子どもたちの心にも残っているからだと思います。
他の時事的なテーマはあまり選ばれませんでした。
「宇宙」「星」「星座」も人気です。
このようにテーマが重複した子がおおよそ80人ほど、
他の50人ほどはテーマがバラバラで、
中にはかなり個性的なテーマもありました。

なお、興味のある単語をワークシートに縦横無尽に書く子はほとんどおらず、
ちゃんとジャンルごとに分けて書いている子が大半でした。
このへんは教えていないのに自然と行なうあたり、さすが6年生です。

というわけで、卒業研究振り返り(2)「テーマを決める」は以上です。
まだ1つめでこの長さ…先が思いやられます。

なお、この「テーマを決める」を含めテキストやワークシート類の作成には、

を参考にさせていただきました。
この本が無かったら多分卒業研究は成り立たなかった、
というくらいお世話になりました。
高校生向けの資料ですが、小学校でも十分参考になります。
同じく特に参考になったのは

片岡先生ご自身の、卒論指導の実践内容や重要な指導ポイントなどが
詳しく書かれていて、こちらも大変参考になりました。
どちらも探究型学習をする上でテーマ問わず大変参考になるので、
よろしければご一読ください。


新米学校司書さんに送るツイートまとめ

いよいよ明日から新年度。
明日、学校司書としての最初の一歩を踏み出す方も多いかと思います。
そんな方のために、昨年「新米学校司書さんに送るツイート」をTwitterで連続してつぶやきました。
そのまとめがこちら。

・新米学校司書さんに送るツイートまとめ
http://togetter.com/li/281892

新米の方も、まだ経験の浅い方も、また学校司書のみならず司書教諭の方にもご一読いただければと思います。


卒業研究振り返り(1)卒業研究の概要

2012年度に1年間をかけて、6年生で卒業研究を行いました。
その内容を何回かに分けて振り返りたいと思います。
その前に、まずは卒業研究の概要について。

本校では学校図書館教育を研究する部会があります。
その部会及び学校全体で、調べ学習を次の6つのステップに分けて捉えています。

1.テーマを決める
2.テーマの基本を調べる
3.テーマの中で調べることを決める
4.情報を探す
5.情報を整理し、研究する
6.研究したことを発表する

卒業研究では、この6つのステップを元に授業を組みました。
ただし、ステップの数は6つでも、
実際に行った授業の内容や指導内容は、
6つという数の中には収まりません。
6年生はこれまで調べ学習のスキルをほとんど
指導されていなかったので、一から全てを教えねばならず、
その指導内容は多岐にわたりました。
以下は、実際に指導した内容です。

1.テーマを決める(ステップ1)
2.テーマの基本を調べる・百科事典編(ステップ1)
3.テーマの基本を調べる・新書マップとリサーチ・ナビ編(ステップ1)
4.問い作り、問い作りの練習(ステップ2)
5.問いを評価する(ステップ2)
7.問いの調査内容を考える(ステップ3)
8.キーワードとNDCを考える(ステップ3)
9.情報を探す(ステップ4)
10.研究レポートの作成方法(ステップ5・6)

おおまかに分けると、このような10段階になりました。
しかし、振り返ってみると10段階でもまだ不足していたように思います。

卒業研究の授業は隔週で図書の時間に行いました。
図書の時間は他学年では読み聞かせなどを行っているのですが、
6年生はほぼ全て卒業研究にあて、通常の図書の時間は行いませんでした。
授業は主に専用のプリントを作成し、担任の先生とTTで行いました。

卒業研究のテーマは自由。特にジャンルの制限などもかけませんでした。
重複したテーマも多くありましたが、
児童それぞれが個別に自分のテーマを考えて決めました。

以上が卒業研究の概要です。。
次回からは1~10の指導内容をおおまかに振り返ります。


おにのめん(落語絵本)

荒物問屋で奉公しているお春は道具屋さんで母親そっくりのお面を見つけます。道具屋さんのご主人さんの好意でそのお面を譲ってもらったお春は、寂しくなった時にタンスにしまったそのお面を眺めます。その様子を観ていた荒物問屋の若だんな、ちょっとしたいたずらを思いついて…

親思いのお春にちょっとお間抜けな若だんなの対比と、落ちに持っていく上手さが落語らしい1冊。ただ、読み聞かせするにはちょっと長いかな…?落語の単元の時に読むのも良いし、年末に読むのも良い落ちです。ただ、この落ちにも今の子には説明が必要?


今年の学校図書館関連研修・全国大会

今年開催される大規模な研修・全国大会の案内が
続々とネット上にアップされはじめています。

・図書館問題研究会 第60回全国大会 鹿児島・指宿
http://tmk-taikai2013.jimdo.com/
開催日:2013年6月16日(日)~18日(火)
場所:メディポリス指宿天珠の館
(2013年4月「Ibusuki Bay Terras Hotel&Spa 」に名称が変わります)
〒891-0403 鹿児島県指宿市東方5000番地
TEL:0993‐23‐2552  Fax:0993‐23‐5571
例年、7月中旬に開催しますが、
鹿児島地方は梅雨の時期にあたり大雨の被害(交通網の断絶、土砂崩れ等)が懸念されるため、開催時期を早めました。

温泉地指宿で開催、学校図書館の分科会は赤木かん子さんの講演。
2日目の夜は砂蒸し温泉や地酒を楽しむ会も開かれます。
行きたい…が平日はやはり厳しい…
ちなみにサイトは先日来阪された@hashio_mさんが作られています。
圧巻は鹿児島県図書館マップ
離島も含む鹿児島県全域の、それも図書館のみならず
公民館図書館等まで網羅された圧巻の図書館マップです。
作成はさぞかし大変だったことでしょう。
え?大阪版?誰が作るの?

・学校図書館問題研究会(学図研)2013年 第29回全国大会(島根大会)
~未来につなげよう~ 子どもと共に育つ学校図書館

http://gakutoken.net/meeting/
2012年8月4日(日)~6日(火)
島根県松江市 玉造温泉 玉造グランドホテル長生閣
全体会:対談「学校図書館と子どもたちの未来」
溝口善兵衛 島根県知事 × 片山善博 慶応義塾大学教授

学図研全国大会、今年度はここ数年学校図書館界で
大いに話題になっている島根県で開催されます。
これは自分も参加する予定です。

・全国学校図書館協議会(SLA) セミナー・研究会
2013年度 年間スケジュール

http://www.j-sla.or.jp/seminar/index.htmlページ真ん中あたり
関東地区大会・・・栃木県宇都宮市 8月1日(木)~2日(金)
九州地区大会・・・沖縄県那覇市 8月1日(木)~2日(金)
学校図書館夏期セミナー・・・函館市 8月5日(月)~6日(火)
東海地区大会・・・愛知県豊橋市 8月7日(水)~8日(木)
近畿地区大会・・・京都府京都市 8月8日(木)~9日(金)
北海道地区大会・・・北海道小樽市 9月20日(金)~21日(土)
北信越地区大会・・・富山県富山市 10月31日(木)~11月1日(金)
学校図書館セミナー・・・横浜市 11月
東北地区大会・・・青森県八戸市 11月7日(木)~8日(金)
中国地区大会・・・島根県浜田市 11月7日(木)~8日(金)

SLAは今年度は地域大会開催の年
(SLAは全国大会と地域大会が隔年で開催されます)。
夏〜秋にかけて全国各地で地域大会が開かれます。
時期がずれているものがいくつかあるので、
2〜3つぐらい参加することも可能?
自分は京都大会に参加する予定です。

・第37回全国高等学校文化祭
2013 長崎しおかぜ総文祭

http://www.nagasaki-shiokaze.jp/
7月31日(水)〜8月4日(日) 長崎県内各地で開催
開催日程・会場の詳細はこちら

こちらは文化活動に取り組む高校生たちの「全国文化祭」。
「文化部版のインターハイ」とも言われているそうです。
その中に「図書」の部門があります
図書館活動・読書啓発活動に取り組む「高校生たち」のための研修・活動発表の場です。
「図書館広報誌・図書館PR造形物のコンクール、分科会、ワークショップ等」が
実施されるとのことで、上述の全国大会にも負けない
充実した内容になっています。
全国の高校で活躍する図書部・図書委員会、
その他読書活動に関わる高校生たち、ぜひ参加を!

自分が把握している範囲では今のところこれだけなのですが、
きっと他にも様々な研修が開かれるはず。
耳寄りな研修情報がありましたらぜひお寄せください。