月別アーカイブ: 2013年1月

うみのいえのなつやすみ

夏といえば海、そして海といえば、「うみのいえ」。カレーライス、焼きそば、かき氷、フランクフルト…って食べ物ばっかりですが、この主人公のなっちゃんは、親戚のおばさんたちがうみのいえをしています。毎年夏はそのおばさんのところに行って遊ぶのが恒例。いとこのゆうくんと海で泳いだり、貝殻を集めたり、磯でカニや小魚を捕ったり、海の遊びが満載です。ところが、大事にしていた麦わら帽子をなくしてしまったなっちゃん。遊んでいた浜辺や磯を探しても、麦わら帽子が見つかりません。その内に雨も降りだして…夏の海の楽しさたっぷりですが、ストーリーもなかなか面白い絵本です。


狂言えほん せつぶん

はるばる中国の蓬莱山から日本やってきた鬼。さすがに疲れたので、どこかで休もうと思ったところ、明かりの灯る一軒の家があった。中には美しい女の人がひとり、鬼はたちまち女の人に惚れてしまい、なんとか嫁にしようと口説くが、女の人は鬼が恐ろしくてたまらない。鬼は手を変え品を変え惚れさせようとするけれど…

狂言の節分をもとにした絵本。女の人を口説く鬼の様子がとてもひょうきんです。鬼が怖くて怖くてしょうがない女性と、それに全然気付かず女も自分に惚れてあるなと勝手に勘違いする鬼の間抜けさのギャップが面白いです。ただ、この機微を捉えるのはちょっと難しそうかな?中学年〜高学年向けかもしれません。


チュンチエ―中国のおしょうがつ

中国のお正月「チュンチエ(春節)」。マオマオのお父さんは出稼ぎに行っていて、チュンチエに家に帰って来ます。帰って来たお父さんはヒゲがたっくさんはえていて最初はびっくりしたけれど、散髪屋さんでさっぱりしたら、やっぱりいつものお父さん。一緒にお餅を作って、町に買い物に行って、チュンチエの準備をします。町もチュンチエに合わせて、出店が出て人で賑わい、提灯が飾られ、華やかになっていきます…

日本とは少し時期の違う、中国のお正月のお話。町の華やかさが特に目につきます。おそらく中国の田舎町という設定なのでしょう、チュンチエの華やかさを描きつつ、地方に住む中国の家族の現状も取り入れていて、お話に膨らみを持たせています。おもちのおまじないは日本でもすると面白そうですね。


ソルビム、ソルビム2

韓国でお正月に着る晴れ着のことを「ソルビム」と言います。そのソルビムを着る子どもの様子を描いた絵本。1巻が女の子バージョン、2巻が男の子バージョンです。日本の着物もそうですが、何枚も重ね着をしたり帯を結んだり、となかなか着るのが大変そう。男の子は飽きっぽいからか、途中で凧揚げをしたり伸びをしたり(笑)。女の子と男の子では当然、ソルビムの色も形も違いますが、全部着終えた後はどちらもとても華やかです。日本より北にある韓国らしく、雪景色にとても映えています。巻末にはソルビムとして着る1枚1枚の衣装の名称がわかりやすくのっており、男の子バージョンには家族の集合写真的な絵も最後にあります。1巻と2巻、比べて見るとまた面白いです。


おもちのきもち

きなこをつけたりあんこをつけたり、お正月にはついつい食べ過ぎてしまうおもち。しかし、おもちの側に立って考えてみると、果たしておもちのきもちは…?

おもちの独白で語られる、おもちの気持ち。そのストーリーだけでも十分面白いのですが、それに加えて絵が面白い!杵でつかれているおもちの気持ち、のしぼうで伸ばされてるおもちの気持ちがよ〜く伝わってくる絵です。そして中盤からさらにお話は意外な展開に!どの学年でも笑いが出る絵本です。


鬼が出た

読み聞かせには向いていませんが、「鬼」の伝承について、子ども向けにとてもわかりやすく、そして多くの写真や資料を元に紹介されている本です。日本人にとって「鬼」がどういった存在であったかを縁起絵巻や仏像や各地の伝承などを元に正確に分析されていて、節分の固定的な鬼のイメージを払拭してくれます。節分の読み聞かせと一緒にどうぞ。


オニの生活図鑑

この本は読み聞かせには向いてないのですが、節分の読み聞かせで一緒に紹介するとウケること間違いなし!鬼の村、衣服、食べ物や仕事、お祭りや結婚式や成人式まで、鬼の風習や生活を余すところなく絵と文で紹介しています。「山オニ族」「海オニ族」と部族ごとに分けて紹介されているのにも驚きです。そんな部族の違いがあったとは…。

前書き・後書きには、今はもうオニは姿を消してしまったけれど、各地の伝承や史跡を元に調べたこと、調べれば調べるほどオニの生活の面白さがわかったこと、また人間たちがオニの「強い」というイメージを悪用して悪者扱いしてきたことなども書かれています。惜しむらくは、その「どうやって調べたのか」の参考文献や史跡などのリストも載せて欲しかった…


オニたいじ

毎年節分の豆まきでオニのふりをしたおじさんを退治していた豆たち。しかし、今年は本物のオニを退治しよう!と飛び出して行きました。泥棒や密猟者など、世界中にいる「本物のオニ」たちをいざ退治!

「鬼」を災いと捉えるのではなく、「鬼と化した人間」と捉えているところが面白いですね。ラストのオニには驚きですが(笑)けど、ラストのオニ、人間の中にもいますよね。


おにのくび

母親と子どもと鉄砲打ちのおとうが、親子三人で仲良く暮らしていた。ある日、そのおとうが鉄砲打ちから帰って来ると、なんと炉端に鬼が座っていた。母親も子どももどこにもおらず、怒ったおとうは山刀で鬼の首を切り落とした。しかし、鬼は首だけでおとうの肩に噛み付いて…

のっけからなかなか壮絶な展開ですが、途中には鬼の首との面白いやり取りもあったりと、昔話の怖い面と面白い面の両方が垣間見える絵本。ラストの鬼の首に追いかけられるシーンは絵にも迫力があり、結構怖いです。ラストに鬼と菖蒲の話が出てくるので、端午の節句に合わせて読み聞かせに良いですね。


おばあちゃんのえほうまき

今日は節分。おばあちゃんと孫のきりちゃんはふたりでえほうまきを作ります。玄関のヒイラギにはイワシの頭を飾って、えほうまきには七つの具を入れて…もちろん豆まきもします。今年一年、幸せに過ごせますように!

この季節の行事を紹介する「おばあちゃんの…」シリーズ、今回は節分です。恵方巻きは関西の習慣だそうですが、長年食べているけれど中身の具の数にまで意味があるとは知りませんでした。暦の話、ヒイラギやイワシの頭の意味、恵方巻きの食べ方や豆の食べ方まで、節分の行事の行い方とその意味をお話としてスムーズな流れの中に自然に挿入されていて、あまり説明的になっておらず、読み手として読みやすそうだし聞く子どもたちにも自然に頭に入りそうです。おばあちゃんのお願いごとが面白い(笑)