月別読み聞かせ絵本リスト」カテゴリーアーカイブ

いつだってともだち

ピンク色の子象のベノは、水玉模様の子象のフレディととても仲良しでした。ふたりは顔を見るだけでお互い何を考えているかわかるくらいの仲でした。けれどある日、ふたりはどうしても離れ離れになってしまうことになりましたフレディと別れたあと、ベノは誰と遊んでも、何をしていても楽しくありません。ベノはどうしたら良いかわからなくなり、物知りのふくろう、ホレイカに相談に行くことにしました。ホレイカがくればアドバイスは…

自分も中学校時代、土日になると(土日じゃなくても)毎日のように遊ぶ仲の良い友人が転校してしまった時に、こんな気持を味わいました。あの時この本を読んでいたらなぁ。別れというものは来なければそれにこしたことはないことですが、人生に別れはつきもの。別れの悲しみを癒す方法を教えてくれる絵本です。


たいせつなこと

スプーン、ひなぎく、雨、草、雪…それらは私たちの目に映え、私たちの想像力をふくらませてくれる。けれど、それらにとって、本当に大切なことは?これを読み聞かせしても、子どもたちにはひょっとしたら難しいかもしれません。けど、子どもの時に読んであげて、いつかまた大人になった時にこの本に出会って、その意味を考えて欲しいなぁと思う絵本です。


鬼の首引き

都に向かう若者の前に突然鬼が現れて、若者は捕まってしまいます。鬼はその若者を食べようとするのですが、「まてよ。ウチの姫さんはまだ人間を食べたことがない。お前、わしと姫さんとどっちに食べられたい?」と聞いてきます(どっちも嫌だ…)。若者は姫さんの方を選びます。しかしタダで食われるのはかなわん!と若者は鬼の姫さんに勝負を挑みます。勝負は腕相撲や足相撲。鬼の姫だからさぞかし強いのだろう…と思いきや、意外にも弱くて負けてしまう姫さん。最後は若者と他の鬼たちとの首引き勝負ですが、若者はこれまた知恵を巡らせ…

よく見ると登場人物たちの表情が面白い。若者は知恵を巡らせるだけあってなかなあ鋭い表情をしています。それに対し負ける鬼の姫さんは案外かわいい(笑)鬼は若者に騙されてしまいそうな、悪い顔してるけどちょっと間抜けそうでもある顔…。井上洋介さんは大胆なタッチの絵ですが、細かいところはすごく繊細でお話によく合っています。


鬼のうで

都で大暴れしていた酒天童子ら鬼の一味を退治した源頼光たち。しかし、一匹の鬼がこっそり逃げて、羅生門で女を100人もさらっていた。そこで、頼光の家来で最も強い、渡辺綱が退治にでかけ、見事鬼のうでを切り落としたが…

「そうれそれそれ そのむかし」「やんややんや」など、噺家のような文体が実に面白く話し手としても読みやすいのですが、それは赤羽末吉さんの文と絵が実に物語に上手く起伏をつけているからでもあります。絵は白を基調としているのですが、例えば渡辺綱が羅生門に向かうシーンでは、渡辺綱を細い筆の線で描き、ひとつめの風が吹くところでは風を少し太めの薄墨で数本、次の雨の滴りは渡辺綱と同じ線でごく控えめに、そして次の黒雲と松が出てくるところでは色を濃くして描く大きさも大きくして、最後の稲妻が光るところで渡辺綱を灰色で塗り、「いかにもこれから何か起こるぞ」という雰囲気を醸しだしています。しかし、次のページをめくると…何も起こらない。鬼は出てきません。渡辺綱の油断した気持ちを表してか、そのページに書かれている渡辺綱も線がふにゃふにゃ。しかし、そのページをめくった瞬間不意に出てくる音は実に力強い線え勢いのあるタッチ、画面をはみださんばかりの鬼の迫力。あわれ腕で握りつぶされた渡辺綱が描かれる次のページでは、あえて背景を血をイメージするかのような色。この色は代赭かな?とまぁ、実に絵が物語と連動していて、読み手も聞き手も物語にぐいぐい引き込まれるようになっています。これぞ絵本、という本です。


えんぎもん

おじいちゃんのおうちは『えんぎものやさん』。いろいろなおめでたいものを売っているお店です。今日も、最近良いことが無い人や、新しくお店を人たちが、えんぎものを探しにやってきます。そんなうちの家族もみんな、普段からえんぎかつぎをしています。ところが、家族たちに良くないことが次々起こり始めました。そこで、おじいちゃんはウチに代々伝わる秘伝の書を出してきて…

えんぎもの、みなさは飾っていますか?この本は様々なえんぎものが出ていて、ページの中でそのえんぎものの意味も小さく解説されているので、説明しながら読むと子どもたちも「へぇ〜!」と感心します。また、えんぎものだけでなく、「トイレをきれいにしておくとかわいい赤ちゃんが生まれる」などの縁起担ぎも出てきます。ただ、最後に出てくる「ひでんのしょ」は読み手の技量が問われそう。


しゃっくりがいこつ

しゃっくりが止まらなくなってしまったガイコツくん。って、ガイコツってどうやってしゃっくりするんでしょうね(笑)しかし現実にしゃっくりが出て困ってるガイコツくん。なんとかしゃっくりを止めようと、鼻をつまんで水を飲んだり、息をとめてみたり。え?ガイコツだからできないんじゃないかって?そうですね、できません。できないのにやっちゃうから、ガイコツくん、とても面白いことになってます(笑)そのアイデアと、それを再現した絵の面白さが秀逸な絵本。サイズも大きいので、読み聞かせでは大盛り上がりする絵本です!


もりのてがみ

さむいさむい冬。ひろこさんは、ともだちにてがみを書きました。みどりの目をしたりす、しっぽのとれたとかげ、うたのすきなことりたち…みんなもみの木の下で出会ったともだちです。「すみれがさいたらまた会おうね」という約束を書き、てがみはもみの木にさげました。春になったら、みんなに会えるかな?

ひろこさんの手紙を書く場面が、とっても良い!手紙自体もともだちとの想い出がつまってて良いんだけど、その手紙の周りにある小物…はさみ、ペン、バンドエイド、切手、のり、などなどの小物類にすごく味があって、この手紙のシーンを一層ほんわかしたものにしてるんです♪そして、物語もまたほんわかしているので、この手紙のほんわかと相まって読んでいてとっても幸せな春の気分になります!このほんわかは、おひざに抱っこの読み聞かせで一緒にあじわってください~


ぼんさいじいさま

ぼんさいじいさまのたくさんのぼんさいのなかでも、一番大切で一番見事なのが、しだれ桜のぼんさい。そのしだれ桜が今朝は満開で、ぼんさいじいさまがうっとりながめていると、しだれ桜からじいさまを呼ぶ小さな声。しだれ桜をのぞいてみると…

この絵本の何がすごいって、じいさまの達観しているところがすごい!読み手は途中でじいさんの死に薄々気づくんですよね。けど、全然悲しみがない。むしろ、「あぁ、こういう死に方だったら良いなぁ」と思わせるくらい。それくらい、じいさんが死を恐れず、死をすんなりと受け入れているんです。だって、途中あきらかに死の宣告をされているのに、このぼんさいじいさん、「おお、そうだったのかい」の一言で済ませるんでよ!そして、本当に幸せそうに自分の庭を訪れた動物たちとの想い出を振り返り、楽しそうにスキップしながら逝くんです。桜吹雪の中を。桜の散り際に、桜の儚い和歌などのブックトークにおりまぜて読んでみてはいかがでしょうか?


ぽとんぽとんは なんのおと

冬ごもりの穴のなかで2匹の双子のあかちゃんを生んだかあさんぐま。ぼうやたちは穴の外から聞こえる音が気になるようです。「かあさん、なんのおと?」とこぐまたちは聞きます。そのたびにかあさんぐまが教えてあげます。きこりが木を切る音、ふくろうが鳴く声、なだれの音…その音から、だんだん春が近づいてくるのがわかります。くまの親子の目覚めはもうすぐかな?

大人が読むと「あかちゃんたち、お母さんぐまを寝かせてあげてー!」と思っちゃうんですが、かあさんぐまは太っ腹!子どもの質問に優しく答えてくれるところが、包容力があって良いなぁ。それでいてかあさんぐま、目をつぶってて眠そう(というか眠ってる?)その顔がまた味があって良いのだなぁ。そうしている内に、やがて音が春を知らせる…ストーリー展開も繰り返しなんだけど待ち遠しい春を徐々に感じさせていく展開が上手い!冬と春の境目の季節にどうぞ~


はるをさがしに

「いま、はるのにおいがした」オコジョのタッチィは、一面の雪景色の中、訪れてくる春のかすかな匂いを感じました。タッチィの楽しみは、仲良しのくまさんが冬眠から目覚めること。けれど、なかなか春は来ません。シカは「くまさんのあなのまわりに、花をしきつめればいいんじゃないの?」というアイデアをくれました。そこで、タッチィはくまさんを起こすための花を探しに、電車にのって南へ行くことにしました。電車に乗れないタッチィのために手助けをしてくれた女の子も一緒です。タッチィは花をみつけることができるでしょうか?

くまさんを起こすために頑張るタッチィが健気で、そしてその起こすためのアイデアもまたかわいい!クマさんを起こすタッチィの想像のシーンがかなりほんわかします♪ 絵はちょっとマンガのコマ割り風で、これは賛否両論あるかも?けど女の子はきっと気に入りそうなかわいい絵です。個人的には、女の子が列車を見送るシーンと、ラストのくまさんとタッチィくんが一緒の場面の構図が良いなぁ。