投稿者「hontomo」のアーカイブ

hontomo について

大阪府で小学校図書館司書をしています。学校司書歴7年目。1年目は右も左も分からず、2年目は読み聞かせに力を入れこの頃から個人的に読み聞かせのデータベースを作成をし始めました。3年目から勤めていた小学校・中学校の学校図書館改善に取り組み、サイト「ほんとも!〜学校図書館おたすけサイト〜」を立ち上げ。4年目以降は調べ学習に力を入れ始めました。その後異動し、現在の学校では1年生〜6年生を見通した調べ学習のカリキュラム・授業作りを研究中です。

おじいちゃんちでおとまり

お父さんもお母さんも出張で、初めておじいちゃんの家に1人でお泊まりすることになったぼく。でもぼくはおじいちゃんのことをよく知らない。そこで、おじいちゃんは僕をお風呂に連れていき、そうしておじいちゃんの冒険話をしてくれた…

お風呂屋さんで話しているおじいちゃんの冒険?譚の世界へと、絵が移り変わって行きます。お風呂でサメが追いかけてきて、そこからどこかの小さな島に辿り着き…。場面場面は現実の世界とおじいちゃんのお話の世界とが重なりあっていて、「おはなしを聞いている」という現実に在りつつも子どもがおじいちゃんの話に入りこんでいるのが伝わってきます。この絵がともかく面白く、おじいちゃんの冒険譚がより楽しく伝わってきます。こんなおじいちゃんがいると良いなぁ。絵が小さいので少人数 or おひざにだっこの読み聞かせ向き。


おじいちゃんのまち

おじいちゃんはひとりで暮らしている。僕たちの家族はおじいちゃんが心配で、「一緒に暮らそう」と言っても、おじいちゃんはそうしない。どうしてだろうとおじいちゃんに聞いても、はっきりと答えてくれない。ある日、僕はおじいちゃんとお風呂屋さんに行った。そしたら…

この絵本に出てくるおじいちゃんの境遇は、今の子どもたちには実感し難いかもしれません。こういう地域はもちろんまだ残っているかもしれませんが、読み聞かせをしてもわかりにくいかも。しかし、こういう絵本を読んで解説をしてあげると、逆に町の暮らしの本来の姿を知る良い機会になるかもしれません。また、高齢者の方に読み聞かせをするのにも良いように思います。


いのちの木

森に年老いたキツネがいしました。キツネはひとりで出かけると、お気に入りの場所に体をそっと横たえ、まぶたを閉じるともう二度とそのまぶたを開きませんでした。しばらくして、森の動物たちがキツネの周りに集まり、キツネとの思い出を語りました。すると、キツネの眠っていた場所から芽が出てきて…

「わすれられないおくりもの」とかなり内容が重なっていますが、こちらの方が文章が平易で、低学年にもわかりやすそうです。そっとフクロウがキツネの体に寄り添う場面や、動物たちが集まってくる場面からは、死者を弔う想いが伝わってきます。


どんぐりどらや

秋の森を散歩していたアキオは、お地蔵さまにかかってた葉っぱを払い落としました。そうすると良いことがあるとおばあちゃんから聞いたからです。すると、森の奥から何やら歌声が…

この絵本は読み聞かせの得手不得手があるかもしれません。途中まで、歌ではなしが進むからです。しかし途中で出てくるお菓子作りの美味しそうなこと!上手く歌えたなら、子どもたちは「美味しそう~」とよだれをたらしそうな声で言うことでしょう。また、美味しそうなだけでなく、おはなしも一工夫、ふた工夫されていて面白いです。


おちばきょうそう

たっくんはおじいちゃんから庭のおちばのおそうじを頼まれました。けど、うまくほうきで落ち葉を集められません。それを見ていたたぬきは笑ってしっぽで落ち葉を集めてみせました。そこでふたりで落ち葉あつめきょうそうのはじまり!

小学校低学年~もっと下の幼い子向けかな?絵が大きめで見やすく登場人物の表情豊かで読み聞かせ向き。落ち葉を集めたあとは…お決まりですね♪


やきいもするぞ

森は落ち葉だらけで畑はおいもだらけ。こうなったらしょうがない、ということで動物たちと焼き芋が始まります。リズムの良い文章で落ち葉集め、お芋掘り、とどんどん進んでお芋を食べたらおならが出て…なんとおなら大会!子どもの大好きな展開です。このおなら大会がまた面白くて…大ウケ間違い無しの絵本です。


あたまにかきの木

お酒がだいすきなじろべえさん。毎日飲んだくれの日々です。しかし、おかみさんから今日は稲を刈ってくれと頼まれ、酔い覚ましに柿を食べました。しかしあやまって種を飲み込んでしまい…

昔話らしい繰り返しの展開ですが、話がどんどんとんでとない展開になり、飽きないどころか聞く子どもたちは驚くことでしょう。また何より田島征三さんの豪快でダイナミックな絵がお話の面白さをより効果的に伝えています。ただし字が小さいので、練習が必要です。


どんぐりころころ(しぜんにタッチ!)

秋に公園などにたくさん転がってるどんぐり。そのどんぐりがどこから来るのか?どうやって生るのか?大きな写真と幼い子にもわかりやすい文章の絵本になっています。どんぐりが落ちる瞬間の絵は見事!また色んな種類のどんぐりが実物大でのっていて、どんぐり調べにも使えそう。どんぐりを食べる動物たちの写真もあります。読み終わった時にポケットからどんぐりを出したりするとまたウケます。とんぐり工作導入にも良いですね。


はちかづきひめ

子どものいない夫婦が毎晩観音様に子どもが授かるようお願いをきていると、観音様が枕元に立ち、「間もなく女の子生まれる。女の子にははちをかぶせておくように。さすれば子どもは幸せになれる」と言いました。間もなく子どもは生まれ、夫婦は約束通り娘にはちをかぶさて育てましたが…

はちをかぶらされることで周りのりものにさげすまれ、継母には厳しくされついには捨てられ…と不遇の現代の虐待に通じるものも。その後の境遇もなかなか厳しく、またはちかづきもその境遇にただただ耐えるばかりです。こんな育てられ方をしたら耐える以外の方法が思い浮かばないのかもしれません。結局は運の良さのみで生き残り最後の大逆転で幸せになるはちかづき。「生きていればいつかは良いことが」と言いたいところですが、現代はそこまで甘くは無いかもしれません。それでも生き残ることの大切さは現代にも通ずるのかもしれません。


ふしぎなやどや

趙という若者が、旅の途中板橋という町で三娘子というおかみの宿に泊まることにしました。他の客はお酒に酔って寝てしまいましたが、趙は酒を飲まず、夜はなぜかなかなか寝付けませんでした。その夜、壁の向こうでするかすかな音が気になり覗いてみると…

中国唐代の伝奇、薛漁思 作「板橋三娘子」(「太平広記」所収)の再話。お話自体がとても不思議で、井上洋介さんの絵がその不思議さをより伝えています。